元
PHASESスコアは、Population(民族)、Hypertension(高血圧)、Age(年齢)、Size(サイズ)、Earlier subarachnoid hemorrhage(くも膜下出血の既往)、Site(位置)に基づき、未破裂脳動脈瘤(UIA)の破裂リスク管理を容易にするために開発された。
そこで、外科的治療を受ける未破裂脳動脈瘤患者の神経学的転帰を予測するために最適なPHASESスコアの値をあきらかにするべく、くわしくしらべてみたそうな。
2014年1月1日から2020年12月31日までに大規模4次施設でUIAに対するクリッピング外科治療を受けた全患者の記録を解析した。
入院時の障害度mRSスコアが2以下であることを組み入れ条件とした。
主要転帰は1年後のmRSスコアとし、mRSスコア>2を神経学的転帰不良と定義した。
次のことがわかった。
・総計375人の患者が解析に組み入れられた。全集団のPHASESスコアの平均は4.47であった。
・375人の患者のうち、116人(31%)がPHASESスコア≧6であり、神経学的転帰不良を最大限に予測できることがわかった。
・PHASESスコアが6以上の患者は、退院時および追跡調査時において、PHASESスコアが6未満の患者よりも神経学的転帰不良の割合が有意に高かった。
・年齢や合併症、動脈瘤の大きさで調整した後も、PHASESスコア≧6は追跡調査時の神経学的転帰不良の有意な予測因子であった。
未破裂脳動脈瘤のPHASESスコア≧6が転帰不良と有意に関連しており、この閾値を意識することが、破裂リスク管理に有用であることを示唆している、
というおはなし。
感想:
PHASESスコアのP(民族)の項目は、日本人だと3点、フィンランド人は5点がつく。それ以外の民族は0点。↑
合計6点以上が転帰ヤバいという結論のなかで、日本人かフィンランド人かでその半分以上の可能性が決まるというのは、直感的にもおかしいとおもう。
研究者のアタマの中が心配になるレベル。
くも膜下出血は言われているよりも少なくとも10倍以上ひんぱんに起きていて、ほとんどは病院にゆかないので患者としてカウントされない。↓
日本はとくに動脈瘤ビジネスが盛んなため、瘤がみつかる機会がおおいというだけで民族的に欠陥があるわけではない。
転帰不良に関連するPHASESスコアが日本人で高いのは、それだけ医師に理不尽な目に遭わされている証拠。
なにより重大なのは、
「動脈瘤を治療することにより破裂率や死亡率が低下することを証明できるランダム化比較試験がこの世に存在していないということ。」
じっさい、治療したからといって破裂率はなにも改善されない。↓