元
経皮的耳介迷走神経刺激(taVNS)は、脳卒中後の上肢リハビリテーションのための有望な非侵襲的神経調節法として注目されている。
しかし、taVNSは左右いずれの片麻痺を有する脳卒中患者に対しても「左耳刺激」を用いている。
このときの皮質反応をくわしくしらべてみたそうな。
機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて、脳卒中患者が「ブロック移動」課題に取り組む際の大脳の活性化パターンを確認した。
さらに、Lateralization Index(LI)を用いて大脳機能の側方化ダイナミクスを定量化した。
次のことがわかった。
・左片麻痺の患者では、左脳のブローカ野だけでなく、左脳の運動前野と補足運動皮質(PMC-SMC)の活性化が顕著に増加した。
・逆に、右片麻痺の患者は、左脳の一次体性感覚皮質(PSC)領域の活性化が高まった。taVNSは大脳の活性化を著しく増幅し、片麻痺の左右にかかわらず左運動皮質ネットワークに顕著な影響を与えた。
・興味深いことに、LIは左右片麻痺のいずれでも同値であり、損傷脳半球によらない調和のとれた増強が示唆された。
経皮的耳介迷走神経刺激は脳卒中によって影響を受けた脳領域の活性化を効果的に促進し、特に左運動皮質領域でその効果が顕著であった。また、この治療方法は脳の左右の機能バランスを保ちながら、上肢の機能回復を支援するための有望な手段と考えられる、
というおはなし。
感想:
私『この論文では迷走神経刺激を右耳ではなくなぜ左耳に施すのですか?』
AI『論文によると、迷走神経刺激(taVNS)は、左耳のcymba conchae域に電気刺激を提供するために使用されています。しかし、この論文では、なぜ左耳が選択されたのかについての特定の説明は提供されていません。
一般的に、迷走神経刺激は左耳で行われることが多いとされています。これは、左耳の迷走神経枝が、右耳よりも心臓への直接的な接続が少ないためです。このため、左耳での刺激は心臓への影響を最小限に抑えることができ、より安全とされています。また、左耳を通じた刺激が脳の特定の領域により効果的に影響を与える可能性があるという研究も存在します。ただし、これは迷走神経刺激の応用や研究において依然として活発に議論されている分野です。』
私『論文全体として、左耳しか刺激していないので、左脳ばかりが活性化されていますが、LIに偏りはなく、両脳半球が増強しているとはどういうことですか?』
AI『論文における結果が示しているのは、左耳への迷走神経刺激(taVNS)により、特に左脳の活性化が顕著に増加しているものの、Lateralization Index(LI)に偏りがないということです。これは、左耳の刺激が左脳の特定の領域(特に運動関連の皮質領域)に強い影響を与えていることを意味しますが、同時にLIの一貫性からは、両脳半球全体での活性化の調和が保たれていることも示唆されます。
左脳の特定領域の活性化: 左耳へのtaVNSが直接的に左脳の運動皮質領域(例えば運動前野や補足運動皮質)の活性化を促進しています。これは、左片麻痺患者(右脳半球損傷)および右片麻痺患者(左脳半球損傷)の両方で観察されています。
LIの一貫性: 一方で、LIの一貫性は、損傷された脳領域と損傷されていない脳領域の両方で調和の取れた増強が行われていることを示しています。つまり、左脳の特定領域が強く活性化されている一方で、右脳半球(左片麻痺の場合)や左脳半球(右片麻痺の場合)などの他の領域も同時に活性化されていることを意味しています。
この結果は、taVNSが脳の特定領域に直接的な影響を与えつつ、全体的な脳活動のバランスを保っていることを示唆しています。このような調和のとれた脳活性化は、脳卒中のリハビリテーションや治療におけるtaVNSの有用性を示唆しています。』