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近年、アスピリン使用はベネフィットよりも出血リスクの増加が問題視されている。
とくに、東アジア人は脳出血罹患率が高いため、アスピリンの脳梗塞予防効果は限定的であることが示唆されている。
そこで、東アジア人と欧米人とで、低用量アスピリンのベネフィットと有害性をメタアナリシスでくわしくしらべてみたそうな。
2021年12月31日までの、心血管疾患のない参加者を対象とした低用量アスピリン(≦100mg 1日1回)による介入に関する無作為化臨床試験(RCT)を検索した。
アウトカムには主要有害心血管イベント(MACE)、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、大出血(頭蓋内出血、大消化管出血)が含まれた。
次のようになった。
・2つのRCTには17003人の東アジア人が、9つのRCTには117467人の欧米人が参加した。
・アスピリン投与はMACE発生率の減少において両群で同程度の効果を示した。
・対照的に、アスピリンの大出血リスクは、欧米人群に比べ東アジア人群で高く、これは消化管出血の頻度が高いことが原因であった。
・これら正味のリスク(MACE予防と大出血のリスクの和)は、東アジア人および欧米人の参加者において、1000人あたりそれぞれ8.04人および0.72人であり、124人に1人および1389人に1人になんらかの有害事象が起きることを示した。
東アジア人における脳梗塞一次予防のための低用量アスピリンは,欧米人と比較して大出血のリスクがとても高いため、慎重に処方されなければならない、
というおはなし。
感想:
アスピリンはリスクとベネフィットのバランスが欧米人に最適化されている。いっぽう東アジア人にとってはリスクが「圧倒的に」上回っている、ってこと。↑
一般に、血液サラサラ薬の脳梗塞「再発予防」効果は、出血のリスクを無視することによってもたらされる。
たとえば薬の副作用の脳内出血で亡くなった場合、生涯にわたり脳梗塞の再発をふせぐことができたと解釈される。