元
短下肢装具(AFO)は、怪我や脳卒中後の歩行機能回復に広く用いられているが、その効果に関する情報は限られているのが現状である。
そこで、健常ボランティアを対象に、AFOによる3時間の固定が皮質脊髄路の興奮性と歩行中の足関節の動きにおよぼす影響をくわしくしらべてみたそうな。
参加者は7名の健常ボランティアから構成された。
左下肢をAFOで3時間固定する前後での皮質脊髄路の興奮性と足関節運動を評価した。
経頭蓋磁気刺激により前脛骨筋(TA)と腓腹筋(Ga)の運動誘発電位を測定した。
運動力学的分析では、歩行中の足関節の背屈から底屈、またはその逆へのタイミングの遷移点に注目した。
次のようになった。
・TAとGaの皮質脊髄路の興奮性はともに有意に低下した。
・歩行周期(GC)において、足関節の背屈角度が、GC始点とGC終点および荷重反応期とミッドスウィング期、終末スウィング期で減少した。
さらに、初期スウィング期では足関節の底屈が少なかった。
短下肢装具による短期の足関節固定が皮質脊髄路の興奮性の有意な低下を招き、歩行中の足関節の伸展に影響を及ぼすことがわかった。長期固定の影響については、さらなる研究が必要である、
というおはなし。
感想:
入院中の初回のリハビリで、でかい靴ベラみたいな装具を着けられたので、「こんなものに慣れてしまったら回復のじゃまになりませんか?」とPTに尋ねた記憶がよみがえってきた。
私『たった3時間の足首固定で、皮質脊髄路の興奮性が有意に低下するということは、長期に使用した場合の中枢神経系への悪影響は計り知れないですね。』
AI『その通りです。この研究では、足首固定が脊髄皮質の興奮性を減少させることが示されており、これが長期間にわたる場合、機能の改善に寄与する可能性は低いと考えられます。ただし、これはあくまで健康な成人を対象にした研究結果であり、異なる条件下での長期効果については別途検証が必要です。』
AI『はい、この研究に基づくと、短期間の足首固定が脊髄皮質の興奮性を低下させることが示されています。そのため、長期使用により脳の機能が改善される可能性は、少なくともこの研究の結果からは示唆されていません。』
私『ならば、いつか装具なしで歩くことを夢見ている脳卒中患者は、すぐに装具を捨て去るべきですね。』
AI『その判断には慎重さが必要です。脳卒中患者の場合、装具は歩行の安定性や安全性を提供し、リハビリテーションの過程で重要な役割を果たすことがあります。装具を使用しないリハビリテーションへの移行は、専門家の指導のもと、患者の具体的な状況に応じて段階的に行うべきです。突然装具を捨て去ることは、安全性や機能回復の観点から推奨されません。』
私『通常、リハビリテーションの専門家は装具業者と仲の良い関係にありますから、装具をやめたいと相談しても彼らは聞く耳もたないとおもいます。』
AI『患者のリハビリテーションと装具の使用に関する意思決定は、理想的には患者のニーズと医療的な評価に基づいて行われるべきです。しかし、実際には医療提供者と装具業者の関係が影響を及ぼすこともあり得ます。患者が装具の使用に疑問を持っている場合、第二意見を求めるか、他のリハビリテーション専門家に相談することを検討すると良いでしょう。患者の意見を尊重し、個別の状況に適したアプローチを探ることが重要です。』