元
軽症の急性脳梗塞患者における血栓溶解療法の役割については、依然として大きな論争がある。
その有効性と安全性を、入院時の神経症状NIHSSスコアごとにくわしくしらべてみたそうな。
発症後4.5時間以内に入院したNIHSSスコア0~5の軽症脳梗塞患者507例について、
入院時のNIHSSスコアが0~2点と3~5点の2群に患者を割り付け、
さらに血栓溶解療法の適用の有無別に機能的転帰および脳出血の割合を比較した。
次のようになった。
・NIHSSスコア0~2の患者267例のうち、112例(41.9%)が血栓溶解療法を受けた。
・血栓溶解療法は90日後の患者の機能転帰後を有意に改善しなかった。
・NIHSSスコアが3〜5であった240例のうち、155例(64.6%)が血栓溶解療法を受け、その結果、血栓溶解療法を受けなかった患者に比べて90日後の障害度mRSスコア0-1の転帰良好者割合が有意に改善した。
・このとき脳出血発生率に有意な増加はみられなかった。
・早期の神経学的悪化や90日以内の脳卒中再発率についても、血栓溶解療法群と非血栓溶解療法群で統計学的に有意な差はみられなかった。
軽症の脳梗塞患者への血栓溶解療法は、NIHSSスコアが3~5の患者においては有効であったが、NIHSSスコアが0~2の患者では機能的転帰は改善せず、むしろ脳出血が増えるだけだった、
というおはなし。
感想:
わかりやすく言うと、
脳梗塞のほとんどを占める軽症患者のうち、その過半数にとってアルテプラーゼ(rt-PA)による血栓溶解療法はまったくの害でしかなかったという結論。
さいきんは、急性期に抗血小板薬をあたえておくだけのほうがずっとマシであるとわかってしまった模様↓。