元
脳内出血(ICH)は脳梗塞に次ぐ最も一般的な脳卒中である。
しかし脳内出血は死亡率が高く機能的回復が悪いと考えられているので、短期転帰を予測し回復に影響を与える因子についてくわしくしらべてみたそうな。
非外傷性ICH患者100人を対象とした。
退院時、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後の臨床データと画像データを収集し、障害の程度をmRSスコアで測定した。
つぎのようになった。
・100例中32例が入院中に死亡し、さらに6例が3ヵ月の追跡期間中に死亡した。
・院内死亡の危険因子は、ワルファリンの使用、外科的介入、高ICHスコアであった。
・患者の障害度mRSスコアは退院後3ヵ月で有意に改善した。
・回復不良に関連する因子は、70歳以上、冠動脈疾患の既往、入院時のGlasgow Coma Scaleの低値、平均動脈圧の上昇、入院期間の長期化、ICHスコアの高値であった。
脳内出血は高い死亡率(36%)と関連していた。ワルファリンの使用、外科的介入、高ICHスコアは、入院中および退院3ヵ月間の死亡の予測因子であった。機能の改善は退院1ヵ月後に始まり3ヵ月後で有意に達した、
というおはなし。
感想:
このサンプルのうち半数以上が抗血栓薬(アスピリン、クロピドグレル、ワルファリン)を使用していたので、
私『脳内出血死亡のリスク因子としてワルファリンが挙げられています。つまり薬の副作用で出血して死亡する、ということですね。』
AI『はい、その通りです。論文ではワルファリンの使用が脳内出血(ICH)による死亡のリスク因子として挙げられています。ワルファリンは血液を薄める作用があり、心房細動や血栓症の予防に効果的ですが、その反面、出血リスクを高める副作用があります。
特に脳内出血は重大な副作用であり、場合によっては命に関わる事態に至ることがあります。』
私『でも心房細動による心塞栓性の脳梗塞を防げたわけですから、患者が脳内出血で死亡したとしても抗凝固療法は大成功であった、ということですね。』
AI『心房細動による心塞栓性脳梗塞を予防することは、抗凝固療法、特にワルファリンの使用の主要な目的の一つです。この目的が達成された場合、その点においては療法は成功していると評価できます。
しかし、医学的治療においては、成功を評価する際には利益とリスクを総合的に考慮することが重要です。ワルファリンのような抗凝固薬は、心塞栓性脳梗塞のリスクを減少させる反面、出血リスク、特に脳内出血のリスクを増加させます。患者が脳内出血で死亡した場合、これは抗凝固療法の重大な副作用として捉えられます。
したがって、患者が脳内出血で死亡したとしても、療法が「大成功」であったと一概に言うことは難しいです。治療の全体的な成功を評価するには、心塞栓性脳梗塞の予防と脳内出血によるリスクの増加という両方の側面を考慮する必要があります。利益とリスクのバランスを取ることが、医学的治療の重要な側面です。』
私『患者の脳内出血は副作用にもみえますが、自然発症とも区別が付きません。それとも両者を区別できるものなのですか?』
AI『脳内出血が抗凝固薬の副作用によるものか、自然発症のものかを区別することは、実際には非常に難しい場合があります。これは、脳内出血の原因が多岐にわたり、様々な要因が絡み合って起こるからです。
抗凝固薬の影響: 抗凝固薬、特にワルファリンは出血リスクを高めることが知られています。これは、薬剤によって血液が通常よりも薄まり、出血しやすくなるためです。したがって、抗凝固薬を服用している患者が脳内出血を起こした場合、その薬剤が少なからず関与している可能性があります。
自然発症の脳内出血: 一方で、高血圧や脳血管の異常、年齢など他のリスク因子が関連して脳内出血が起こることもあります。これらの要因は、抗凝固薬とは無関係に脳内出血を引き起こすことがあります。
患者の病歴、使用している薬剤、血液検査の結果、画像診断の所見などを総合的に評価することで、脳内出血の原因についてある程度の推定は可能です。しかし、脳内出血が抗凝固薬の直接的な副作用によるものなのか、それとも他の自然発症の要因によるものなのかを完全に区別することは常に可能ではありません。医師は利用可能な全ての情報を基に、最も可能性の高い原因を判断しますが、場合によっては明確な答えを得ることが難しいこともあります。』