元
頭蓋内動脈瘤(IA)は一般的な脳血管障害である。
動脈瘤の破裂は脳卒中の中で最も危険な動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)を引き起こし、脳血管攣縮や虚血性の後遺症を伴うことがある。
最近、腸内細菌叢のアンバランスがIAの形成、進行、破裂に関与していることが示唆されている。
IAや脳血管攣縮に対する効果的な予防法が確立されていないことから、腸内細菌叢との関連についての現在の知見をまとめるべく、システマチックレビューをこころみたそうな。
頭蓋内動脈瘤の成長、aSAH発症、およびaSAH後の脳血管攣縮における腸内細菌叢の役割に関する原著論文を、2023年5月1日まで検索し、厳選した。
次のようになった。
・302件の記録のうち、適格基準を完全に満たした4件の研究が含まれた。
・ 腸内細菌であるハンガテラ・ハザウェイが比較的多く存在することが、脳の血管の動脈瘤が大きくなるのを防ぐ保護因子になりうるとされている。
・その理由は、この細菌が脳の血管壁での炎症を減らし、細胞外での支えとなるマトリックスの構造変化を抑制するからである。
・また、脳の血管内の平滑筋細胞が分解されるのを金属を含む酵素の働きによって減らす効果もある。これによって、動脈瘤が成長したり壊れたりするリスクが下がると考えられている。
・カンピロバクター・ウレオリティクスの相対的多さはaSAHと関連している。
・現在進行中の研究はあるが、aSAH後の脳血管攣縮と微生物叢との関連を評価した論文はない。
腸内細菌の異常は頭蓋内動脈瘤の発生と破裂に関与している。また、特定の微生物がそれらの原因である証拠もある。ハンガテラ・ハザウェイは動脈瘤やその破裂を予防する可能性がある。カンピロバクター・ウレオリティクスは動脈瘤の破裂を促すのかもしれない、
というおはなし。
感想: