元
「目に見えないドッペルゲンガー」は、自分の身体が錯覚的に複製されることを指す。
身体イメージ障害は、知覚の歪みや身体意識の低下を伴う。
文献的には、臨場感障害(feeling of presence:FOP、実在しない誰かがいるというありありとした感覚)が脳卒中にともなって現れることはまれであり、
FOPと身体イメージ(個人が作成した身体の感情状態)や身体スキーマ(中枢神経上に統合される身体情報)の障害の併発はほとんど報告されていない。
脳卒中とドッペルゲンガーを併発した例が3つあったそうな。
つぎのようになった。
・62歳の右利きの女性は、突然左腕が自分のものでないと感じた。
・その後、キッチンで左側に誰かがいると感じ、その「人」が自分自身のドッペルゲンガーであると認識した。
・彼女は、その「人」の顔や上半身が自分と全く同じであることに気づいた。
・患者はまた、軽度の発語障害と左半身の麻痺を経験し、MRI検査で右側の上頭頂葉に小さな梗塞が見られた。約36時間後、症状は完全に解消した。
・65歳の右利きの男性が、左側の上半身に奇妙な感覚とコントロール上の問題を感じた。
・彼はその「人」(自分自身のドッペルゲンガー)がいたずらをしているように感じた。
・患者には左側に軽度の痺れがあり、MRIでは右側の上頭頂葉に小さな梗塞が見られた。症状は24時間以内に解消した。
・57歳の右利きの男性は、突然左手と足にしびれを感じた。
・その後、別の「自分」(ドッペルゲンガー)が現れ、何かの働きかけを繰り返した。
・この患者は触覚刺激への麻痺があり、MRIでは右側の上頭頂葉に梗塞が確認された。症状は48時間以内に回復した。
全例に右上頭頂葉の梗塞がみつかった。臨場感障害をともなう身体イメージや身体スキーマの障害は、右上頭頂葉に病変がある場合に発症する可能性がある、
というおはなし。
感想:
当初は、麻痺して垂れ下がっていただけの左腕とは別の
想像上の左腕が突然現れて、見舞客に手を振って見送っていた思い出がある。
このとき手を振る反動で生じる体の揺れまで感じた。