元
いくつかの有望な前臨床および臨床データがあるにもかかわらず、一時的な四肢虚血と再灌流を繰り返す遠隔虚血コンディショニング(RIC)が脳卒中に対する有効な治療法であるかどうかは依然として不明である。
RICの効果を評価するべく、大規模にランダム化比較試験をおこなったそうな。
2018年~2022年、デンマークの4つの脳卒中センターで実施された。
入院前の脳卒中症状が4時間以内の患者1500例を対象とした。
介入は、一方の上肢に膨張式カフを用いて行われた(RICカフ圧200mmHg、偽カフ圧20mmHg)。
各治療は、5分間のカフ膨張と5分間のカフ開放を合計5サイクル行った。
治療は救急車の中で開始され、少なくとも1回は病院で繰り返された。その後、1日2回の治療を7日間行った。
脳梗塞および脳内出血患者の90日後の障害度mRSスコアを評価した。
次のようになった。
・1500例(年齢中央値71歳)のうち、1433例(96%)が試験を完了した。
・そのうち149例(10%)が一過性脳虚血発作と診断され、382例(27%)が脳卒中模倣症状と診断された。
・残りの902例(脳梗塞737例[82%]、脳内出血165例[18%])ではRICが436例、偽RICが466例であった。
・90日後のmRSスコア中央値はRIC群で2、偽RIC群が1であった。
・RIC治療は90日後の機能的転帰の改善と有意な関連を示さなかった。
・無作為化された全患者において、重篤な有害事象の発生数に有意差はみられなかった。
・治療中の上肢痛および皮膚の点状出血は、RIC群で54例(7.2%)、偽RIC群で11例(1.5%)にみられた。
急性脳卒中患者において、迅速に開始された遠隔虚血コンディショニングは、90日後の機能的転帰を有意に改善しなかった、
というおはなし。
感想:
遠隔虚血コンディショニングは長年注目してきただけに、こんかいの結果はかなしい、、、