元
高比重リポ蛋白(HDLコレステロール)は、軽度認知障害および認知症発症に関連することが報告されているが、この関連性の背後にあるメカニズムは不明である。
そこで、軽度認知障害のある脳梗塞患者を対象に、HDLコレステロール値と6ヵ月後の認知機能改善との関連性をくわしくしらべてみたそうな。
NICE研究の急性脳梗塞で軽度認知障害の患者558人が登録され、
HDLコレステロール四分位値によってQ1~Q4の4群に分けられた。HDLの中央値は1.12mmol/L(四分位範囲0.96-1.34mmol/L)であった。
主要評価項目は、認知機能の改善度であり、
ΔMoCA(Montreal Cognitive Assessment)≧2と定義された。
副次的評価項目は、認知機能の悪化度であり、
ΔADAS-cog(Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale)≧4
またはΔMMSE(Mini-Mental State Examination)≦-3と定義された。
次のようになった。
・314名(56.27%)がΔMoCA≧2、、49名(8.78%)がΔADAS-cog≧4、31名(5.56%)がΔMMSE≦-3、であった。
・認知機能の改善度はHDLコレステロール値と負の相関を示し、Q2と比較して、Q4とQ3の患者で最も低かった。
・Q2患者はQ1とくらべて、アルツハイマー指標での認知機能の悪化ΔADAS-cog≧4を示した。
・しかし、HDLコレステロール値とΔMMSE≦-3、LDLコレステロール値と認知機能の変化との関連は観察されなかった。
・HDLコレステロールと認知機能の改善度との間に非線形関係が認められた。
脳梗塞患者において、HDLコレステロール値が低いことは6ヶ月後の認知障害の改善と正の相関があることを示した、
というおはなし。
感想:
HDLコレステロール値が低いほうが認知障害の回復は良かった、ってこと。
四分位範囲の上限 1.34mmol/L でも正常値内であり異常に高かったわけではない。
AI『HDLコレステロール(高密度リポタンパク質コレステロール)の正常範囲内での存在が認知障害の回復を妨げる可能性のあるメカニズムには、いくつかの要因が考えられます。以下に、いくつかの可能性を列挙します。
HDLは抗炎症性の性質を持っていますが、これが認知機能にどのように影響するかは明確ではありません。抗炎症性の影響が神経炎症を減少させ、これが認知障害の回復を妨げる可能性があります。
HDLはコレステロールを肝臓に輸送する役割を果たし、これが脳内のコレステロールのバランスを妨げる可能性があります。脳はコレステロールを必要としており、この輸送プロセスが認知機能に影響を与える可能性があります。
HDLには神経保護性の効果があるとされていますが、これが認知障害の進行または回復にどのように影響するかは完全には理解されていません。
HDLは血管機能を改善するとされていますが、これが脳血流にどのように影響し、認知機能にどのように影響するかは明確ではありません。
HDLがアルツハイマー病のバイオマーカーであるアミロイドβのクリアランスに影響を与える可能性があります。これが認知機能の回復を妨げる可能性があります。
HDLは酸化ストレスをモデュレートする可能性があり、これが認知機能に影響を与える可能性があります。
これらのメカニズムは仮説的なものであり、具体的なケースにどの程度適用されるかは個々の研究に依存します。HDLと認知機能との関係は非常に複雑で、多くの要因が影響を与える可能性があります。』