元
動脈瘤性くも膜下出血後の血管攣縮と遅発性脳虚血は、患者の死亡と神経学的転帰不良と関連している。
そこで、血管攣縮と遅発性脳虚血をターゲットとしたすべての治療戦略の有効性をネットワークメタアナリシスでくわしくしらべてみたそうな。
1990年1月1日から2021年11月28日までの主にランダム化比較試験を対象とした。
血管攣縮または遅発性脳虚血の治療戦略について、
3ヵ月後までの死亡率、血管攣縮、神経学的転帰との関連を解析した。
次のようになった。
・192件の臨床試験が選択され、41299人の患者が組み入れられた。
・ランダム化比較試験では、3ヵ月までに死亡率を減少させた治療戦略はなかった。
・スタチン、チリラザド、髄液ドレナージ、クラゾセンタン、は血管攣縮の発生率を有意に減少させた。
・シロスタゾールは、3ヵ月後までの神経学的転帰の改善と関連した唯一の治療法であった。
くも膜下出血の血管攣縮をターゲットとした治療戦略はすべて、死亡率を減少させることができなかった。シロスタゾールは神経学的転帰の改善には役立ちそうである、
というおはなし。
感想:
いちばん大切なはずの「動脈瘤手術」についてはこう↓書いてある。
Studies focusing on securing the aneurysm (clip or coil) were not included in the review .
「動脈瘤の修復(クリップまたはコイル)にフォーカスした研究はレビューに含まれなかった。」
動脈瘤手術の有無と死亡率についてのランダム化比較試験をおこなってしまうと、動脈瘤手術になんの効果もないことが白日の下に晒されてしまうので、このテーマは半世紀以上にわたり業界のタブーになっている。
だから臨床試験結果を含めようにもできない。
ちなみに、
「血管攣縮」は漏れ出た血液が原因とされているので、クリッピング手術であれば開頭時に血腫除去ができるためコイリングよりも攣縮予防できそうだけれども、じっさいは真逆である↓。