元
身体所有感(自分の体が自分自身に属しているという感覚)が、多感覚の錯覚を通じてどのように形成されるかは注目すべきテーマである。
そこで、脳卒中後のリハビリテーションにおいて、この身体所有感と注意が麻痺した体の部位に向けられることで、
その部位の使用頻度が増え、学習による不使用が防がれる可能性を探るべく実験してみたそうな。
次のようになった。
・慢性期の片麻痺患者13人を対象に、ヘッドマウントディスプレイを使ってラバーハンド錯覚を生じさせ、つづく模倣訓練を組み合わせた実験を行った。
・ラバーハンド錯覚を誘発した状態では、麻痺側手指の模倣運動の動作がより大きく観察された。
・手指に対するあらたな所有感が、運動パフォーマンスに促進的に影響すると考えられた。
主観的経験を用いたこのトレーニングは、脳卒中後の新たなリハビリテーション介入の開発に役立つ可能性がある、
というおはなし。
感想:
AI『ゴム手錯覚(Rubber Hand Illusion, RHI)によって模倣訓練の可動域(Range of Motion, ROM)が向上する理由については、複数の要因が考えられます。以下に主なポイントをまとめます。
ゴム手錯覚は、視覚的なフィードバックと触覚的なフィードバックが統合されることで発生します。この統合によって、患者はゴム手を自分の手であると感じ、それが運動機能にも影響を与える可能性があります。
ゴム手錯覚によって、患者の身体認識(body schema)が一時的に変化する可能性があります。この変化が、患者が自分の片麻痺の手を動かす際の制限を緩和するかもしれません。
錯覚が成功すると、それはしばしば驚きや興味を引きます。このような心理的な要素が、患者が模倣訓練により積極的に参加するモチベーションを高める可能性があります。
ゴム手錯覚と模倣訓練の組み合わせが、脳内の神経可塑性を促進し、新しい運動パターンの学習を容易にする可能性も考えられます。
ゴム手錯覚は、患者が自分の手に対する注意を高める効果があります。この高まった注意が、模倣訓練においても有用である可能性があります。
以上のような要因が、ゴム手錯覚を用いた模倣訓練が片麻痺の手の可動域を向上させる理由として考えられます。ただし、これらは仮説であり、さらなる研究が必要です。』
特に3番が言い得て妙だとおもった。
感覚体験のない人工知能なのに、片麻痺経験者が共感できるようなことをよくこれだけ語れるものかと感心する。