元
感覚過敏は、脳卒中など後天性脳損傷(ABI)後に頻繁に報告される。
そこで、後天性脳損傷後の感覚過敏に対する患者の認識と日常生活への影響についてくわしくしらべてみたそうな。
感覚過敏の訴えが報告された18名のABI患者(脳卒中、脳腫瘍、外傷性脳損傷)を対象に面接を行った。
インタビューデータを質的主題分析した。
次のことがわかった。
・感覚過敏に関する6つのテーマが明らかにされた。それぞれ、(1)感覚過敏の定義、(2)感覚刺激の種類、(3)経過、(4)疲労、(5)感覚過敏の影響、(6)対処戦略である。
患者は感覚過敏を様々な言葉で説明していた。例えば、一人の患者は光、音、周囲の人々、に対して時々敏感であると説明。また、一部の患者は情報をフィルタリングできず、関連するものも関連しないものもすべて認識してしまう。特に、「刺激で頭がパンクしそうだ」といった感覚がしばしば報告された。
聴覚刺激: 聴覚に対する過敏が最も多く報告された。特に、音が大きく聞こえる、または不意の音が非常に痛みを伴って感じられるといった症状があった。
視覚刺激: 明るい光や動く光が特に厄介であると報告された。
多感覚刺激: 複数の刺激(例えば音と動き)が同時にある状況が特に困難であるとされた。
触覚刺激: 温度や布地に対する敏感性も報告された。
嗅覚、味覚刺激: 一部の患者は味や匂いが強く感じられると語った。
ABI(後天性脳損傷)以後、感覚過敏が進行する傾向にあり、その後数ヶ月で症状が減少する場合もあったが、完全に消失するわけではなかった。
疲労が感覚過敏に影響を与えると多くの患者が報告。疲れている時には、さらに敏感になる傾向がある。
仕事、身体、イライラ、社会生活などの領域に影響を及ぼしている。特に仕事に対する影響が大きく、多くの患者が仕事を続けられなくなっていた。
患者はノイズキャンセリングヘッドホンや耳栓、サングラスなどを使って刺激を減らす工夫をしていた。また、日中に数時間休む、計画的な生活を送る、人混みを避けるなどの対策も報告された。
脳損傷後の感覚過敏は患者の日常生活に多大な影響を及ぼしており、それぞれが独自の対処法で日々を乗り越えようとしているのが確認された。患者自身だけでなく、周囲の人々のサポートも重要である、
というおおはなし。
感想:
当初、水や金属に触れただけで激しく痛かった思い出がある。
作業メモリが減って注意がまわらないとか、経験したことのない疲れ、怒りの沸点低下なんかも感覚過敏として扱われうるってことだな。