元2023 9月 シンガポール
若年成人（18～50歳）の脳卒中は全症例の15％に過ぎないが、長期的な社会的影響はおおきい。
脳卒中後の職場復帰（RTW）は、重要なリハビリテーション目標である。しかし良好な機能的転帰を達成しているにもかかわらず、おおくの若年成人がRTWに至っていない。
そこで、脳梗塞と脳出血とでその後のRTWをくらべてみたそうな。
18～50歳の若年成人の脳梗塞または脳出血を対象とした。
退院時および3ヵ月後の障害度mRSスコアおよび3ヵ月後のRTWとの関連を解析した。
次のようになった。
・459例（71.5％男性）、平均年齢43.3歳、脳梗塞49.2％、脳出血50.8％であった。・脳出血患者では、退院時および3ヵ月後のmRSスコアが好ましくない方向にシフトする傾向が強かった。・脳梗塞患者は、より高い確率で良好な機能的転帰を達成し、3ヵ月後にRTWできた。・機能的転帰が良好（mRS 0-2）であった全脳卒中患者のうち、3分の1が3ヵ月後にRTWしなかった。・入院期間が長く、入院時の神経症状NIHSSスコアが高い患者、特に意識レベル、視力、運動機能、言語、無視の各領域でスコアが高い患者は、3ヵ月後のRTW率が低かった。
若年成人の脳梗塞は脳出血と比較して職場復帰の可能性が高かった。機能的転帰が良好であった者の3分の1は職場復帰に至らなかった、
というおはなし。
感想：
転帰良好なのに職場復帰しない理由を、医師国家試験に合格できる人工知能AIに尋ねてみたら「なるほど」、と思った↓。
AI『機能的な回復が良好であっても職場復帰しなかった人々が少なくない理由にはいくつかの要素が考えられます。心理的障壁: 機能的には回復しているかもしれないが、精神的なトラウマや自信の喪失が影響している場合があります。職場環境: 職場の環境や業務内容が、回復後でも遂行が困難である場合、職場復帰は遅れる可能性があります。経済的要因: 一時的な失業補償や保険の影響で、短期間の職場復帰が経済的に不利な場合があります。社会的サポート: 家族や友人からのサポートが不足していると、職場復帰へのモチベーションが低下する可能性があります。医療状況: 研究では良好な機能的回復が報告されていますが、それでも残る微細な身体的制約や症状が、職場でのパフォーマンスに影響を与える場合があります。移動の制約: 回復していても、通勤が困難な場合、職場復帰は遅れがちです。業種による差: 特定の職種では、高度な専門技術や集中力が要求される場合があり、それが回復したとはいえ難しい場合があります。以上のような多角的な要因が、良好な機能的回復にもかかわらず職場復帰率が低い理由として考えられます。したがって、職場復帰を促進するためには、これらの要因に対する個別の対応策やサポートが必要であると言えるでしょう。』
