元
韓国では、終末期患者に対する延命医療の中止を合法的に決定できる法律(尊厳死法)が2018年2月から施行されている。
医療上の無益が予想される場合に延命医療の差し控えや撤回を希望する患者や家族が増加している。
そこで、急性脳卒中患者に対する尊厳死法後の状況をひとつの病院においてくわしくしらべてみたそうな。
次のことがわかった。
・2017年1月から2021年12月までの間に,脳出血184人、脳梗塞43人を含む脳卒中患者227名が当該病院で死亡した。
・入院日数は尊厳死法施行前と比較して施行後は短縮した。
・延命医療を行うかどうかに対する同意取得率は、法施行後に増加する傾向にあった。
・人工呼吸器の撤去は、法施行前よりも法施行後により頻繁(0%→28%)に行われた。
・手術が必要であった190人の患者において、手術拒否は法施行前よりも法施行後の方が多かった。
尊厳死法の施行以降、急性脳卒中患者における延命医療の中止率が増加した。しかし、この決定は患者本人ではなく家族によっておこなわれていた。また、法施行後の臓器提供率の低下、手術拒否率の上昇が認められた、
というおはなし。
感想:
すこしまえまでは、病院収入の安定と家族への社会保障の点で延命が好まれていたように感じられ、延命治療の無益さを批判できる心の余裕があった。
しかしこの数年で状況はガラッと変わり、世の中ぜんたいで積極的に人を減らそうとする感がつよくなった。
弱った人を「退場」させる仕組みがますます充実してゆく。