元
脳動静脈奇形(AVM)は動脈と静脈が直接つながっている異常な血管状態であり、一般に成人になってから症状が現れる。
しかし、少数のAVMは小児期に発現することがあり、成人期のそれと比較して出血と死亡のリスクが高いと考えられている。
そこで、小児AVM患者における血管内治療の成績をみなおしてみたそうな。
2010年1月から2021年6月までに当該病院でデジタルサブトラクション血管造影(DSA)を施行した小児患者(0~18歳)のうち、AVMをもつ全患者の記録を対象とした。
次のことがわかった。
・26例が組み入れ基準を満たし、うち12例が血管内治療を受けた。
・治療を受けた患者の平均年齢は10.25歳で、58%が女性であった。
・血管内治療により血管造影上のAVMが完全消失したのは5例(42%)であった。
・塞栓術後にAVMが残存した5人の患者は、開頭手術(n=3)または定位放射線手術(n=2)による追加の治療を必要とした。
・手技に関連した合併症は2例(17%)にみられ、血管穿孔と脳梗塞が含まれた。
・2例は経過観察中にAVMの再発を認め(17%)、その後開頭または定位放射線治療を受け、いずれもAVMは完全消失した。
・フォローアップ時の障害度modified Rankin scale(mRS)スコアは全例で0~2であった。
小児におけるAVMの血管内治療の有効性と安全性を確認した。より高い完全閉塞率を達成するためには、開頭と定位放射線治療を組み合わせたアプローチが必要である、
というおはなし。
感想:
ランダム化比較試験ARUBAによると、
AVMを積極的に治療しても破裂しにくくなるわけでもないのに合併症と死亡率がやたら高いので、すくなくとも未破裂であれば経過観察に徹するほうがはるかにマシ、
とさいきんわかってしまった↓。