元
くも膜下出血で破裂動脈瘤の再出血が起きる頻度は24時間以内がもっとも高いと考えられていて、できるだけ早くに治療することが推奨されている。
しかし臨床現場では様々な理由から治療が遅れる場合がある。
そこで、治療時期がおよぼす転帰への影響をくわしくしらべてみたそうな。
2015-2021年にくも膜下出血で動脈瘤治療を受けた患者215人について、
治療が24時間以内だった急性期群と、それ以降の亜急性期群にわけて比較した。
次のようになった。
・215例中31例が亜急性期の治療だった。そのおもな理由は「来院が遅れた」、「他院からの転院」、「病気を見落とした」 だった。
・最初の画像診断時の脳血管攣縮は亜急性期群におおかったが、術後の血管攣縮発生率に差はなかった。
・亜急性期群の患者は治療開始時の重症度が軽く、その後の臨床状態も良好だった。
・アンギオ上での血管攣縮はコイリングよりもクリッピング患者でおおいようだったが、臨床成績に差はなかった。
・動脈瘤治療のタイミングとその方法は、血管攣縮の発生に有意な影響を及ぼさなかった。
くも膜下出血の発症から1日以上経っての動脈瘤治療は、早くに治療した場合と変わらず良好な転帰をもたらした、
というおはなし。
感想:
ようするに、いそいで治療する必要はなかった。おくれても予後に影響はない。
もっというと、破裂動脈瘤をクリップやコイル治療したほうが治療しない場合よりも再破裂や死亡率が低いことを証明するランダム化比較試験はいまだこの世に存在しない。