元
脳卒中患者について、臨床の場では再発の予防が主な治療目的であるが、
長期の再発リスクについてはかならずしもあきらかではない。
そこで住民ベースに長期的かつ大規模にしらべてみたそうな。
1990-2020年のロッテルダム研究の参加者のうち初回脳卒中患者をフォローした。
10年ごとに期間を分けて、再発のリスクを推定した。
次のようになった。
・参加者14163人のうち1701人が初回脳卒中を発症した。
・このうち65.3%は脳梗塞、26.4%は脳出血だった。
・フォロー期間中に19.5%が再発した。このうち53.8%が脳梗塞、10.3%が脳出血だった。
・最初の脳卒中から再発までの期間の中央値は1.8年だった。
・初回脳卒中後の10年間の再発リスクは、全体で18.0%、男性が19.3%、女性17.1%だった。
・脳卒中の10年再発リスクは低下傾向にあり、1990-2000年では21.4%、2010-2020年では11.0%だった。
オランダの住民ベースの研究では、初回脳卒中後のほぼ5人に1人が10年以内に再発に見舞われていた。しかし再発リスクは低下傾向にあった、
というおはなし。
感想:
いっぱんに、脳卒中は脳梗塞と脳出血の総称であるから、たとえば初回脳梗塞の半年後に脳出血が起きた場合、「脳卒中が再発した」と言えるはずである。
しかし実際には、最初の脳梗塞とあとの脳出血はまったく別の事象として扱われる。
そこで次のような治療戦略を採ることが可能になる。
たとえば、脳梗塞が再発しづらくなるように抗血栓薬を投与する。この薬の副作用で脳出血が起こり患者が亡くなったとしても、抗血栓薬の投与により患者は脳梗塞の再発を一生経験しなかったと言え、「再発予防治療が成功した」と判断される↓。