元
動脈瘤破裂のくも膜下出血の転帰の報告にはおおきなばらつきがある。
機能的転帰評価としてもっとも一般的に使用されているのは修正Rankinスケール(mRS)である。
mRSは身体障害に焦点を当てているが、くも膜下出血経験者の多くは他の領域でも後遺症を経験しており、mRSは彼らにとって重要な転帰を捉えていない可能性がある。
そこで、くも膜下出血の転帰評価としてのmRSの妥当性をくわしくしらべてみたそうな。
くも膜下出血患者355人およびその家族を対象に、彼らがmRSによる評価をどう受け止めているかを国際的にアンケートした。
次のことがわかった。
・60%の回答率でそのうち86%が患者本人、14%が家族だった。
・自己評価の転帰とmRSとの一致度は低く、一致度を評価するカッパ係数(0-1)は0.26にすぎなかった。
・転帰が良好であったと自己評価した172人のうち、71%122人はmRSスコアが0-2だった。
・mRSのスコアが0-2で転帰が良好であった回答者の19%は、自己評価では転帰が不良であったと答えた。
・mRSスコアが0-3を良好転帰として二分した場合、自己評価による転帰との一致度は依然として低く、カッパ係数は0.40であった。
・また、回答者の約30%は、今後の転帰評価においてmRSを使用すべきではないと考えていた。
くも膜下出血経験者の自己評価による転帰と、実際のmRSスコアまたはmRSスコアによる良/不良の二分化との一致度はじゅうぶんとは言えなかった、
というおはなし。
感想:
客観的にはそうなんだから、転帰良しと言われたら患者は受け入れるしかない。
でも、動脈瘤治療は「成功」してもその後いろいろとあるようで、
さいきん見つけたくも膜下出血治療についての無料の漫画↓が参考になる。
著者が激しい頭痛になり病院で検査を受けた途端になぜか意識不明となり、目が覚めると希望してもいないコイルが詰められていたという。後日コイルトラブルで言葉が出なくなり再手術を勧められるというノンフィクション。
漫画ついでに、
元脳外科医の作者が漫画でしかできない見事な手法で、クリップのみならずコイルでの脳動脈瘤治療を辛辣に批判している。