元
心房細動患者にたいして脳梗塞を予防するために経口抗凝固薬(OAC)が日常的に処方されている。
しかしアジア人の抗凝固薬の使用は、命にかかわる大出血の発生率上昇と関連するという報告がある。
そこで、抗凝固薬を使用する心房細動患者の死因をくわしくしらべてみたそうな。
2014-2017年、タイの27病院での心房細動患者を登録したCOOL-AF臨床試験の結果を解析した。
次のようになった。
・平均年齢67.8、3405人を対象とし、フォロー期間は32ヶ月だった。
・心血管死が31.8%、非心血管死は49.7%、不明が18.4%だった。
・死因の上位は、心不全(10%)、頭蓋内出血(ICH、10%)、心臓突然死(6.8%)、虚血性脳卒中(5.8%)、であり、
・とくに死亡者全体に占める脳梗塞の割合は4.7%だった。
・心血管死以外では、感染症・敗血症(27.7%)、癌(5.5%)、呼吸器(5.2%)、大出血(4.5%)、が主だった。
・抗凝固薬を使用していると、脳出血や大出血の発生率が2倍以上だった。
心房細動があり亡くなった者のうち、心血管死は3分の1以下で、脳梗塞による死亡は4.7%に過ぎなかった。
いっぽう、脳出血による死亡は10%、それ以外の大出血による死亡が4.5%あり、抗凝固薬がその主な要因だった、
というおはなし。
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感想:
上のグラフをみると、薬なし(No OAC)のほうが脳梗塞(Ischemic stroke)の死亡率がわずかにちいさいから、そもそも脳梗塞予防効果があることが疑わしい。
予防的治療が謳う「効果」にはかならずこの種のトリックがある。
患者が脳梗塞以外の理由たとえば脳出血で死亡してくれた場合、脳梗塞予防が生涯にわたり有効であった、と判断される。