元
心房細動は脳梗塞の危険因子であるが、抗凝固療法でそのリスク低減ができる。
しかし高齢者にたいしては転倒後の頭蓋内出血の可能性を考慮して抗凝固薬を禁忌とする場合がすくなくない。
そこで、抗凝固療法の患者について、転倒の有無での出血の危険性と、転倒または自然に出血した場合での重症度をくわしくしらべてみたそうな。
65歳以上で心房細動のワルファリン治療を3年以上継続している患者204例の記録を解析した。
次のことがわかった。
・転倒の有無と重度出血の頻度は、転倒あり2.13%(1例)、転倒なし2.55%で有意な差ではなかった。両群の5年死亡率にも有意差はなかった。
・重度出血に寄与する因子はHASBLEDスコア(高血圧、脳卒中の既往、出血傾向、など)だった。
・自然出血群と転倒後出血群では、重度出血は自然出血の18%で、転倒後出血者の0(ゼロ)%だった。
・出血エピソードごとでは、自然出血のうち12%が重度出血で、転倒後出血のうち1%のみが重度出血だった。
・5年後死亡率は、自然出血43%と転倒後出血42%であり有意な差ではなかった。
ワルファリン治療を受けている心房細動患者の転倒は、重度の出血や5年死亡率には影響しなかった。転倒後の出血にくらべて自然に出血する場合のほうが重度出血のリスクはあきらかに高かった、
というおはなし。
感想:
「血液サラサラ薬」を飲むと、怪我したら血がとまらなくなる危険よりも、なにも事故が起きなくても勝手に出血して重症化する危険のほうがはるかにおおきいってこと。