元
脳動脈瘤がみつからないタイプ(非動脈瘤性)のくも膜下出血は、全体の15%を占める。
これはさらに中脳周囲タイプと非中脳周囲タイプに分けられる。
中脳周囲タイプは非中脳周囲タイプにくらべて合併症もすくなく回復もよい。
これらの病因と危険因子はほとんどわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。
2003-2020年になんらかの理由でデジタルサブトラクションアンギオをおこなった3465人の記録を対象とした。
次のことがわかった。
・このうち、脳動脈瘤が写らなかったアンギオ陰性くも膜下出血は119例あり、中脳周囲タイプが39%、非中脳周囲タイプが61%を占めた。
・中脳周囲タイプは平均年齢が、 55 vs. 60歳で若かった。
・身体労作時(排便、重いものを持ち上げる、スポーツや運動、性交、くしゃみや激しい咳、肉体労働、家事)に発症した者は中脳周囲タイプの79%で、非中脳周囲タイプでは16%だった。
・性別、喫煙、アルコール、高血圧、糖尿病、高脂血症、抗血栓薬、の使用に両群で差はなかった。
脳動脈瘤がみつからないくも膜下出血のうち、中脳周囲に出血しているタイプのほとんどは身体労作時に発症していた、
というおはなし。
感想:
アンギオ検査で動脈瘤が見つからないくも膜下出血は、治療できるコブがないので保存療法になる。
それなのに、8割の患者は後遺症もなく完全復活する。
いっぽうで、コブのクリッピングやコイリングで再出血や死亡率が下がるとする臨床試験結果はこの世に存在してない。
ほとんどのくも膜下出血は自然に出血がとまり回復するから手術の必要はない。
動脈瘤手術は「やってる感」をだすための儀式にすぎない。
わりと真剣にそう思うのよ。