元
脳動脈瘤は脳卒中のもっとも重要な原因のひとつであり、その有病率はいまだ十分に研究されていない。
そこで、剖検データにフォーカスしてくわしくしらべてみたそうな。
これまでの剖検および臨床研究にもとづき、年齢、性別、動脈瘤の部位、大きさ、多発性に関する脳動脈瘤の有病率を調査し、その自然経過を推定した。
次のことがわかった。
・剖検研究では、すべての年齢層における脳動脈瘤の有病率は、未破裂瘤が0.3-4.0%、未破裂瘤と破裂瘤を含む場合は 1.3-7.6%だった。
・未破裂瘤患者は破裂瘤患者よりも高齢であることがおおかった。
・中大脳動脈の瘤は臨床研究よりも剖検研究によくみられた。
・未破裂瘤は破裂瘤よりも小さい傾向があった。剖検で顕微鏡下に見つかる形成初期と考えられる2mm未満の微小未破裂瘤は、一般人の10-20%に存在していた。
・臨床データも考慮すると、これら微小未破裂瘤の10%が通常の画像診断で見つかる2mm以上の大きさに成長し、さらにその10%が10年のうちに破裂に至ると考えられた。
・高齢者と女性の未破裂瘤や破裂瘤の有病率が高いのは、微小未破裂瘤が頻繁に発生することによる、と考えられた。
剖検によりみつかる2mm未満の微小未破裂瘤は一般人の10-20%に発生しているものの、それらが成長して破裂に至る割合はごくわずかである、
というおはなし。
感想:
こういった微小瘤が成長するまえにたまたま破裂したものがアンギオ検査にひっかからないタイプのくも膜下出血である↓と考えられている。
ようするに出血源としての瘤の特定は、瘤から血が吹き出しているシーンを確認しているわけではなく、CTで出血のおおい領域にそれらしい瘤がみつかるか否かにかかっている。
じぶんはさいきん、くも膜下出血は瘤の破裂ではないと思うようになってきた。
瘤がみつかるのはその辺りの血管が弱いことのサインに過ぎず、実際はみつかった瘤の近くの動脈壁が裂けて出血していると考える。
そう考えると、みつかった瘤の治療によって破裂率がまったく改善しないナゾに合点がゆく↓。