元
動脈瘤破裂によるくも膜下出血の予後は、年齢や瘤の大きさ、位置、高血圧の既往などが影響すると考えられる。
とくに瘤の位置については、後方循環系の場合に予後不良の可能性が高いとされているものの、その他の血管領域についてはよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。
2010-2020年の動脈瘤性くも膜下出血患者603人の記録を解析した。
動脈瘤の位置は、4グループに分けた。
-前方複合動脈(前大脳動脈、前交通動脈、脳梁周囲動脈を含む)、
-内頚動脈(後交通動脈を含む)、
-中大脳動脈、
-後方循環動脈(後大脳動脈、脳底動脈、椎骨動脈、小脳動脈を含む)
次のことがわかった。
・動脈瘤の40%は前方複合動脈に位置し、平均径は7.2mmだった。
・中大脳動脈の瘤の84%はクリッピングだったが、それ以外の血管域のほとんどは血管内治療(コイリング)だった。
・院内死亡率は後方循環動脈でもっとも高く、次いで内頚動脈で、前方複合動脈と中大脳動脈がもっとも低かった。
・中大脳動脈の患者は前方複合動脈に比べ、急性水頭症があきらかに少なかった。
・遅発性脳梗塞は前方複合動脈でおおく、中大脳動脈では少なかった。
・ROC解析で瘤の位置を考慮すると、院内死亡率を良好に予測できた。
くも膜下出血の動脈瘤の位置は、急性水頭症、遅発性脳梗塞、院内死亡の有意な予測因子となり得た、
というおはなし。
感想:
破裂した動脈瘤を塞ぐ手術が再破裂や死亡率の低下につながることを裏付ける臨床試験はこの世に存在していないんよ。