元
くも膜下出血患者の20%ほどは初回のアンギオ検査で出血位置を特定できていない。
そこで、これらくも膜下出血のCTでの出血パターンと、アンギオ検査の繰り返しで出血源を特定できる割合をくわしくしらべてみたそうな。
2009-2018年の非外傷性のくも膜下出血のうち、初回のアンギオ検査で出血源を特定できなかったすべての患者を対象とした。
次のことがわかった。
・1163人のくも膜下出血のうち242人が初回アンギオ検査で陰性(出血源不明)だった。
・それらのCT上での出血域は、非中脳周囲(41%)、中脳周囲(36%)、脳梁(18%)、CT陰性(5%)だった。
・242人のうち135人で再びアンギオ検査をおこなったところ、その7.4%10人の出血源が特定できた。内訳は、嚢状動脈瘤4例、非定型動脈瘤4例、動静脈奇形2例だった。
・このときの非中脳周囲タイプの出血源特定率は11.3%で、
・さらにアンギオ検査を繰り返したときの回収率は7.7%、12%だった。
・初回アンギオ検査で出血源を特定できなかったもののうち、2.5%は繰り返し検査で特定でき、2.9%は術者の技量不足によるものだった。
アンギオ検査で出血源を特定できなかったものには、繰り返し検査で特定できるものもあり、袋状動脈瘤のほかに変わった形の動脈瘤や動静脈奇形が含まれていた、
というおはなし。
感想:
このテーマはおもしろい。
出血源不明のままだとクリップやコイルを詰めようがないから保存治療になる。
それなのに彼らの8割はほぼ元通りに回復することがわかっている。
いっぽう、すぐに瘤がみつかってクリップやコイルの対象となりえた患者の3割は死亡し、別の3割は障害を負うという。
この差はなんだ?
上の写真は3回目の検査で出血源がみつかった例。ようするに瘤がとても小さいから見つからなかったってことのよう。
すくなくとも、小さい瘤はたとえ破裂してもほっとけば自然に良くなるってこと。