元
終末期医療にかんする研究はおもにがん患者を対象としている。
脳卒中で死亡した患者には別の緩和ケアのニーズがあると考えられるが、急性脳卒中患者でのエビデンスはほとんどないのでくわしくしらべてみたそうな。
脳卒中で亡くなった患者59人の親族に、6週間後に面談した。
死および死の質に関する質問票(Quality of Death and Dying Questionnaire)を使用して、「死の質」の評価(0が最悪の質、10が最高の質)をこころみた。
また、終末期のケアに頻繁に関わった看護師にも同様のアンケートをおこなった。
次のようになった。
・家族は、患者の「死の質」(スコア中央値8)および、看護師(スコア9)や医師(スコア8)に対しても概ね満足していた。
・頻繁な呼吸困難が親族の46%から報告されたが、疼痛に関しての報告はなかった。
・不満足だった経験として、69%が摂食できなかったこと、51%が愛する人に別れを告げられなかったこと、47%が状況がコントロールできないようにみえたこと、41%が尊厳を保てなかったこと、と答えていた。
・親族の3分の2は薬物緩和により不快な状態が解消されていたと報告していた。
・親族と看護師との報告内容には良い相関が見られた。
ほとんどの脳卒中患者の親族は、死の質に全体として満足していた。
ネガティブな経験としては、摂食障害、別れを告げられないこと、コントロールできないこと、尊厳を保てないこと、呼吸困難などが挙げられた。看護師による評価も同様の内容だった、
というおはなし。
感想:
上記の不満足だった経験を裏返してみると、
患者が亡くなる直前まで食べたいものを食べられて、家族との別れの言葉をじゅうぶんに交わし、望むタイミングで死を迎えることができる状態、
が他人が評価する「質の高い死」と考えることができる。
これって、安楽死のシーンだとおもう。
他人の死を評価し始めると「高齢者の安楽死」に行き着く。