元
動脈瘤破裂によるくも膜下出血の治療を受けた80代、90代の死亡率は非常に高く、50%を超えるという。
そこで、彼らの神経学的転帰について、くわしくしらべてみたそうな。
2003-2019年にアメリカのバロー神経研究所で治療を受けたすべての動脈瘤性くも膜下出血の患者記録を解析した。
神経学的転帰不良はmRSスコアが3以上とした。
次のようになった。
・彼らの平均年齢は55、平均フォロー期間は24.6ヶ月、フォロー時の機能的自立(mRS0-2)者割合は54%だった。
・年齢が高いことと機能的自立度の低下とは強く関連していた。
・80歳以上の43人は、67% vs. 33%でクリップよりもコイリング治療がおおかった。
・若い患者とくらべて、80歳以上の患者はフォロー時の死亡と神経学的転帰不良リスクが高かった。
・80歳以上では転帰良好だったのは4例のみで、かれらは既往症はなく、すべてコイリング治療だった。
80代 90代のくも膜下出血患者の9割は動脈瘤を治療しても重度の障害を負うか死亡する、
というおはなし。
感想:
破裂した脳動脈瘤の治療は自然に出血が止まってからしばらくのちの、再出血を予防する目的で行われる。
入院直後の窮迫した状況を改善するためのものではない。
しかも、クリップやコイルによる治療が有効であることを証明するランダム化比較試験はこの世に存在しない。
つまりこの治療行為には、できることがなく仕方なしにやっている「儀式」にすぎない側面がある。
だから、若くて体力のある患者でないとその儀式に耐えることができずに亡くなってしまう。