元
未破裂脳動脈瘤は一般人の3.2%に見られるというが、画像診断技術の進歩と普及にともないその診断頻度は増えていると考えられる。
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血では、12%が即死、30%以上がひと月以内に死亡、25-50%が半年以内に死亡、生存者の30%が要介護となる、とされていて、
未破裂脳動脈瘤の放置は重大な結末に至る可能性がある。
いっぽうで、ほとんどの脳動脈瘤は破裂には至らないため、最善の治療方法についてはいまだ議論の余地がある。
そこで、未破裂脳動脈瘤を持つ者に対する介入のリスクとベネフィットをくわしくしらべてみたそうな。
未破裂脳動脈瘤の保持者にたいする保存措置および介入治療(クリッピングやコイリング)についてのこれまでのランダム化比較試験を厳選して、データを抽出し、エビデンスの質を評価した。
次のことがわかった。
・保存措置とコイリングを比較した80人の臨床試験と、クリッピングとコイリングを比較した136人の臨床試験を解析対象とした。
・保存措置群とコイリング群で、のちのくも膜下出血発生率に差はなかった。
・介入治療にともなう神経合併障害は、24.6% vs. 10.1%でクリッピング群におおくみられた。
・5日以上の入院は、46.2% vs. 8.7%でクリッピング群におおくみられた。
・1年後までのフォローでは、クリッピングの1/48、コイリングの1/58が死亡し、
・クリッピングの1/48、コイリングの1/58がmRS3以上の障害を負った。
未破裂脳動脈瘤の保持者に対する保存措置または介入治療(クリッピングやコイリング)のいずれかを支持する質の高いエビデンスは存在していない。さらなる研究が必要である、
というおはなし。
感想:
クリップにしろコイルにしろ、それら治療行為により「なんの症状もなく瘤があるだけの人」のだいたい4%が死亡か障害者になる。
これで破裂の心配が少なくなるのならまだしも、くも膜下出血の発生率は変わらないということ。