元
脳卒中からの運動能力の回復には認知機能がおおきく影響する可能性がある。
これを確かめるために、認知的要求度のことなる2つの運動課題をおこない、
それらパフォーマンスと認知障害や脳の損傷部位との関連をくわしくしらべてみたそうな。
急性脳梗塞で片麻痺の患者50人の、
損傷脳と同側および対側の上肢について、
認知的要求度の高い課題である Box & Blocksパフォーマンスと、
単純な Grip Strengthパフォーマンスを評価した。
認知機能障害の有無も調べた。
解剖画像からボクセルベース病変症状マッピング(VLSM)を行い、各運動パフォーマンスに関連する部位を特定した。
次のことがわかった。
・同側および対側の上肢で、Box & BlocksパフォーマンスはGrip Strengthパフォーマンスよりも有意に障害されており、脳卒中直後にもっとも顕著だった。
・認知機能障害の有無はBox & Blocksパフォーマンスのばらつきの33%を説明できたが、Grip Strengthパフォーマンスのそれとは関連が認められなかった。
・Grip Strengthパフォーマンスはおもに感覚運動野の損傷に関連していたが、
・Box & Blocksパフォーマンスは感覚運動野以外の広範な損傷と関連しており、特に複雑な認知機能に重要とされる前島皮質の背側部と関連していた。
脳卒中からの回復過程では、認知的要求度が上肢運動パフォーマンスに影響を与えることがわかった。リハビリテーションでは認知的要求度を考慮に入れることが重要である、
というおはなし。
感想:
わかりやすく言うと、
単純動作だけを評価して「有意な改善が認められた」とするリハビリ方法のなかには、実生活ではなんの役にも立たないものがある、ってこと。