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コロナウイルス疾患(COVID-19)による血液の高凝固性は深部静脈血栓症や肺塞栓症を引き起こすため抗凝固療法が必要になる。
いっぽう、COVID-19患者への体外式膜型人工肺(ECMO)使用による脳内出血の報告がある。
そこで、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者のCOVID-19の有無と脳内出血のなりやすさを、ECMOの使用も含めてくわしくしらべてみたそうな。
2018-2020年のARDS患者の記録を解析した。
PCR検査でSARS-CoV-2陽性をCOVID-19患者とし、陰性群と比較した。
次のことがわかった。
・163人のARDS患者のうち、28.8%がCOVID-19群、71.2%は非COVID-19群だった。
・38.7%にECMOが適用され、ICU生存率は52.8%だった。
・COVID-19群は高齢、男性がおおく、臓器重症度のSOFAスコアは低かったが、ECMO適用率は両群で同程度だった。
・抗血小板療法および抗凝固療法は有意にCOVID-19群でおおかった。
・脳内出血は13.5%に起きたが、群間の有意な差はなかった。
・傾向スコアマッチングでも両群の脳内出血発生率が同程度であることが確認された。
急性呼吸窮迫症候群の患者のおよそ10人に1人に脳内出血が検出された。COVID-19患者では抗血栓療法の割合が高いにもかかわらず、他の病因と同程度の脳内出血率だった、
というおはなし。
感想:
新型コロナ患者の脳内出血は、血液サラサラ薬によるものではなさそう、ってこと。