元
ちいさな梗塞の脳卒中であっても、患者はしばしばその病変位置によらず、遂行機能障害、たとえば注意力、集中力、処理速度の低下をしめす。
この原因メカニズムをしらべるために脳磁図(MEG)を用いて脳のネットワークダイナミクスを計測してみたそうな。
軽度の脳卒中を発症した患者9人と同年齢の健常者8人について、
モントリオール認知評価(MoCA)と、MEGを用いた脳活性化パターンの計測を 発症から51日後と239日後の2度行った。
MEGでは被験者に視覚的画像および言葉のマッチングタスクを与えた。計測の進行に従いタスクの難度を高めた。
主に視覚野、紡錘状回、側頭葉の活性化パターンを解析した。
次のことがわかった。
・初回、患者のMoCAスコアは有意に低く、反応時間も長かった。
・脳の活性化ピークの強さは有意に低く、かつ梗塞の位置によらず時間的な拡がりをみせた。
・このパターンはネットワークの障害によるものと考えられた。
・さらに、健常者はタスクの難度に合わせて脳活動が変化したが、
・脳卒中患者ではすべての刺激に対し、同じ低強度の反応をしめした。
・6ヶ月後、患者の認知機能と反応時間が改善したのに対し、グループ間の差はわずかに残っていた。
今回の結果は 遂行機能障害が脳の特定領域に由来するものではなく、広く分布するネットワークの破綻によるものであることを示唆する、
というおはなし。
感想:
アタマにエンジンがかかるまでが大変なんよ。ほんとに。