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脳卒中リスクを抑えるための公衆衛生上の介入として、WHOは1日のナトリウム摂取量2g(食塩5g相当)未満を推奨している。
しかし脳卒中の種類別の予防効果と実行可能性についてはあきらかになっていないので、カリウム摂取量も含めてくわしくしらべてみたそうな。
27カ国が参加する INTERSTROKEスタディの急性脳卒中患者9275人と対照群9726人の尿サンプルから
24時間のナトリウムとカリウムの排泄量を「Tanaka方程式」をつかって推定した。
これらと脳卒中の種類別の関連を解析した。
次のことがわかった。
・尿中ナトリウムとカリウムの24時間の平均推定排泄量はそれぞれ3.29g、1.57gであり、参加者の0.01%のみがナトリウム2.0g未満のガイドライン値を達成できていた。
・ナトリウムとカリウムの排泄量には中程度の正の相関があり、
・ナトリウム排泄量と血圧の間にも正の相関があった。
・ナトリウム排泄量2.8-3.5gと比較して、4.26gを超えるまたは2.8g未満の場合の脳卒中リスクは有意に高かった。
・とくにナトリウム排泄量4.26gを超える場合、脳梗塞よりも脳内出血のリスクがあきらかに高く、脳梗塞では心原性塞栓よりも主幹動脈閉塞やラクナ梗塞のリスクが高かった。
・尿中のカリウムは脳卒中リスクと逆相関にあり、脳内出血よりも脳梗塞との関連が強かった。
・ナトリウムとカリウムの組み合わせとしては、それぞれ2.8-3.5g、1.58g以上のとき脳卒中リスクが最も低いと考えられた。
ナトリウム摂取量と脳卒中リスクとの関連は J時型であり、少なすぎても脳卒中リスクは高くなった。ナトリウム摂取量が多いと脳梗塞よりも脳内出血のリスクが高かった。カリウムは多めに摂るべき、
というおはなし。
感想:
ナトリウム2.8-3.5gは、食塩では7.1-8.9g に相当する。
尿中排泄量からの推定だから汗のぶんを考慮するともう少し摂っていいはず。
大した根拠もなく 10000人に1人しか達成できない食塩5g未満を勧めるWHOが、いったいどういう組織なのかを直観的にわからせてくれたことが「コロナ鍋」の最大の功績とおもうよ。