元
刺激豊富な環境(EE:Enriched environment)は、感覚運動、認知、社会刺激を強化するための効果的なリハビリテーションプロトコルと考えられている。
EE介入後の脳神経の再編効果については、これまで組織観察による理解が主であり、生体での解明が求められている。
そこで、磁気共鳴画像法(MRI)と18F-FDGポジトロン断層撮影法(PET)を用いてくわしくしらべてみたそうな。
中大脳動脈閉塞で脳梗塞にしたネズミについて、標準環境(SE)またはEEで30日間継続して飼育した。
EEではSEにくらべ多くのネズミと共に飼い、何種類もの遊具を設置して それらを頻繁に入れ替えた。
認知検査はMorris水迷路を用いて行った。
白質構造変化はMRIと組織学的解析を組み合わせて観察した。
さらに、18F-FDGを分子プローブとしたPETスキャンを行い、脳のエネルギー代謝を測定した。
次のことがわかっった。
・EEは脳梗塞による空間学習・記憶障害を有意に緩和し、脳萎縮を抑え、
・さらに白質の健全性を保護し、オリゴデンドロ形成を促し白質の再編をすすめることがわかった。
・これらの知見と並行して、PETとMRIの画像から、EEは損傷した感覚運動野、線条体、および脳梁、外包におけるグルコースの代謝率を著しく上昇させることがわかった。
・そしてグルコース利用率と対応する脳領域での白質テンソルとの間に強い相関関係がみられた。
・これらの結果から、脳卒中後のEE介入による白質の再編では、全体的なグルコースの代謝改善が重要なステップであると考えられた。
刺激豊富な環境(EE)には、梗塞体積を抑える効果はなかったが、広範に観察された白質の構造的および機能的改善から EEが脳梗塞後の有効なリハビリテーション戦略である可能性を示唆するものであった、
というおはなし。
感想:
人の場合はかんたん、ネットにつながるパソコンが1台あればいい。