元
急性脳梗塞患者が遠隔地にいる場合や交通渋滞が予想される場合、ヘリコプターによる移送が行われ、このとき患者は移送中に血栓溶解薬 tPAの治療をうけることがありドリップ シップ(drip and ship)と呼ばれている。
しかしヘリコプターの強い低周波振動がもたらす tPA治療への影響についてはまったくわかっていないので、動物実験でたしかめてみたそうな。
人為的に脳梗塞にしたネズミ101匹について、
90分後に tPAをあたえて、
低周波シミュレータに乗せる 32匹、
実際にヘリコプターに乗せる 32匹、
静置のコントロール 37匹、 にわけた。
次のようになった。
・コントロールと比べて、低周波シミュレータでは梗塞体積が 31.6 versus 54.9 mm3 であきらかに小さく、回復良好割合も 86% versus 28%でおおきかった。
・しかしヘリコプターに乗せたグループでは、梗塞体積のあきらかな減少はなく、神経症状の回復もみられなかった。
・これはフライト条件の偶然性により20-30Hz帯の振動が少なかったことによると考えられた。
・tPAの代わりに生理食塩水のグループでは低周波振動の影響はみられなかった。
・血液脳関門の透過性にシミュレータとヘリコプターで差はみられなかった。
ヘリコプターを模した低周波振動がtPA治療とのシナジー効果を示した、
というおはなし。
感想:
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