元
Taking Charge after Stroke- A randomized controlled trial of a person-centered, self-directed rehabilitation intervention
2020 4月 ニュージーランド
脳卒中リハビリテーションでは 現在おもに特定課題について訓練を繰り返す方式がとられている。しかし大規模なランダム化比較試験では患者の自立やQoLを高めるとするエビデンスは得られておらず、別の効果的な方法が求められている。
"Take Charge"(自分で責任をもつ)リハビリは、自己決定理論(Self Determination Theory)にもとづき 退院後の脳卒中患者が自らの管理のもとにリハビリをすすめる方法である。
すでに Maori and Pacific Stroke Study (MaPSS)では統計学的に高い有意性をもった結果が得られている。
そこで、非Maori、非Pacific を対象とした、 Take Charge のより規模のおおきい介入実験(Taking Charge after Stroke :TaCAS)をこころみたそうな。
発症から16週以内で退院済みの脳卒中患者400人(平均年齢72)について、
Take Chargeリハビリ 1セット 132人
Take Chargeリハビリを6週空けて計2セット 138人
コントロール 130人
の3グループに分けた。
Take Charge グループでは患者が自らの状態評価にもとづいた目標設定をおこない、自己管理のもとチェックリストに沿って1回30-60分のリハビリを進める。訓練をうけた進行役が割り当てられてはいるが直接の治療や指導はしない。
コントロールでは一般的なリハビリテキストが渡されるだけ。
12ヶ月後の回復度を Short Form 36の身体機能コンポーネントのスコアとして評価した。
次のようになった。
・Take Charge グループはコントロールよりもスコアが2.9ポイント高かった。
・個々の患者の状態の違いを考慮しても、Take Charge の優位性はかわらなかった。
・用量関係もみられ、Take Charge が1セット増えると1.9ポイント向上した。
・mRS3-5の要介助者の割合は、Take Charge 12%、コントロール 19.5%だった。
MaPSS研究とおなじく今回のTaCAS研究でも、Take Charge リハビリは患者自身が中心になって行う低コストかつQoLと自立度の回復に効果的な方法であることがしめされた、
というおはなし。
感想:
療法士さんによるマッサージの類がなかったにも関わらず、追加のリハビリ要求もなく患者の満足度は高かったという。
コロナ時代にあっては「特殊手技をもった設定」の療法士さんは濃厚接触リスクとして敬遠される。
メールテキスト上でおおくの患者を Take Charge型マネジメントできる事務員が1人いれば事足りるようになるのかもしれない。
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