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Outcomes in Elderly Japanese Patients Treated for Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage- A Retrospective Nationwide Study
2020 3月 日本
日本は高齢化が世界最高レベルにある。
80歳以上の高齢者を含む脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)患者の予後に関するデータが不足していることから、日本全国の入院患者データベースを用いてaSAH患者54805人の特徴を解析し、治療法と回復程度をしらべてみたそうな。
日本のDPCデータベースを用いて、2010-2016に入院した18歳以上のaSAH患者を抽出し、
60歳以下、61-70歳、71-80歳、81-90歳、91歳以上に分類した。
退院時のModified Rankin Scale(mRS)スコアとの関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・54805人の患者のうち、37.5%が60歳以下、24.8%が61-70歳、21.8%が71-80歳、13.9%が81-90歳、2.0%が91歳以上だった。
・81歳未満の患者46107人のうち、58.9%がクリッピング、22.9%がコイリング、18.2%が保存的治療を受けた。
・81歳以上の患者は8698例で、32.4%がクリッピング、23.2%がコイリング、44.4%が保存的治療を受けた。
・80歳以上の患者の87.2%で退院時のmRSスコアが不良(3-6)であった。
・60歳以下とくらべたときの退院時の回復不良(mRS3-6)のオッズ比は、
61-70歳の患者では1.87、71-80歳では4.58、81-90歳では11.35、91歳以上では18.10だった。
高齢のくも膜下出血、特に80歳以上の治療成績はよくなかった。適切な治療法はケースバイケースである、
というおはなし。
感想:
このブログやっててわかったことのひとつに、
「くも膜下ビジネスには根拠がない」 がある。
脳動脈瘤の手術を正当化できるエビデンスが世に存在していない。
そうすることが正しいとむかしから医師のあいだで信じられているからいまもそうしているだけ、ってこと。
体力もない80歳超えの半数以上が手術されていることからその「確信度」がわかる。
Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?
80歳からのくも膜下出血