元
Outcome, Return to Work and Health-Related Costs After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage
2020 1月 スイス
治療技術の進歩もあって重症度グレードの高いくも膜下出血であっても再び自立生活が送れる患者がふえているという。
しかし重症度グレードの高い患者は入院もながく復職可能性も低いことからその社会コストはおおきいと考えられる。
そこで、さいきんのくも膜下出血患者について重症度グレード別に、その回復度と復職率、トータルコストをくわしくしらべてみたそうな。
2007-2010の脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で治療をうけて退院できた者(死亡者を除く)について、
その後の状態を電話インタビューでフォローした。
トータルコストは入院に要した直接コストと、復職機会の損失による間接コストを合計した。
重症度グレードは発症時のWFNSスコアを使用し、1-3を低グレード、4-5を高グレードとした。
次のことがわかった。
・発症から2.7年前後のフォロー期間のなかで、150人中114人(76%)が回復良好(Glasgow Outcome Scale Extended 5-8)で、発症前に職に就いていた98人中61人(62%)が復職していた。
・重症度グレードが「高」は「低」にくらべ、回復良好率 52% vs. 85%、復職率 39% vs. 69% で、いずれも低かった。
・トータルコストは患者1人あたり€344277(約4千万円)だった。その84%は間接コストに由来し、
・回復良好者に要したトータルコストは、重症度グレード「高」の患者のばあい「低」の2.1倍だった。
くも膜下出血の重症度グレードが高い患者のかなりの割合が回復良好だった。しかしそれに要する社会コストはとてもおおきかった、
というおはなし。
感想:
8割が元気になっちゃうんだからくも膜下出血は「過大評価されすぎ」。
そう考えるさらなる根拠とは↓。
くも膜下出血はまれな病気などではなく、言われているよりもすくなくとも10倍以上高頻度におきていておおくが医療機関に捕捉されていない。
Incidence and prognosis of subarachnoid hemorrhage in a Japanese rural community.
また 脳の外での出血なので頭痛以外の神経症状がほとんどない。
くも膜下出血の頭痛と生存率そのため患者は緊急性を感じず、これまで頭痛を我慢してやりすごしてきた。
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率意識をうしなうような超重症の患者のみが病院へ運ばれるためその死亡率は見かけ上ひじょうに高くなる。
これがくも膜下出血が非常に危険な病気としてチヤホヤされるからくり。