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2019年12月5日

くも膜下出血の頭痛と生存率


Warning headache correlates survival rate in aneurysmal subarachnoid hemorrhage
2019  10月  台湾

くも膜下出血のグレード判定方法にはいくつかある(Hunt and Hessscale, Fisher scale, WFNS)。たとえグレードがわるくても積極治療により半数ちかくが回復良好に至るという報告もある。

突然の強い頭痛や激しい嘔吐、局所神経症状、けいれん発作などはくも膜下出血の警告症状とされているが、これらと予後との関係はあきらかになっていない。

そこでくも膜下出血の警告症状と死亡率、その関連要因についてくわしくしらべてみたそうな。





2011-2013の脳動脈瘤破裂のくも膜下出血患者90人の記録について、

警告症状と死亡率との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・警告症状である、頭痛、嘔吐、Hunt and Hess スケール、Fisher スケール、WFNS スケール、BMI,水頭症などは生存者と死亡者であきらかな違いがあった。

・とくに頭痛とWFNSスケールは死亡率につよく関連していた。頭痛があるケースのWFNSのグレードは低く、死亡率が低かった。

・頭痛症状を予後推定に加えるとその予測精度は90.4%から94.6%に向上した。

くも膜下出血の予後を推し量るさいには頭痛の有無を考慮にいれたほうがいい、


というおはなし。

図:くも膜下出血 頭痛 死亡率



感想:

頭痛には出血発症の数日から数週間まえにおきる「センチネル頭痛」があってこんかいこれも含むという。

ちなみに発症から入院までの時間は、頭痛あり336分、頭痛なし183分で早期入院と死亡率の関連はなかったと書いてある。

つまり、頭痛があったから早期治療ができて死亡率が低いのではなく 亡くなってしまうような重症なひとは頭痛を訴えるまもなく意識がとんでしまっただけ、ということのようだ。

上の表にあるようにくも膜下出血では症状のほとんどが頭痛だけのため 患者のおおくを占める軽症者は緊急性を感じず病院へゆかない。

意識を失うような超重症の患者のみが救急車で運ばれるから、くも膜下出血はまれでとても死亡率がたかい危険な病気だとおもわれている。

実際は10倍以上の高頻度で起きているめずらしくもない病気である。↓
Incidence and prognosis of subarachnoid hemorrhage in a Japanese rural community.

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