元
Effect of Additional Rehabilitation After Botulin Toxin-A on Upper Limb Activity in Chronic Stroke
2019 12月 オーストラリア
メタアナリシスによると ボツリヌス毒素Aには痙縮を和らげる効果はあるが日常生活動作の改善には結びつかないという。
臨床ガイドラインではボツリヌス注射後のリハビリ訓練を勧めている。しかしこの指針の科学的根拠は確認されていない。
そこで、ボツリヌス注射後に3ヶ月間の運動リハビリを追加したときの効果をきっちりと検証してみたそうな。 InTENSE (Intensive Therapy Efficacy After Neurological Spasticity Treatment)トライアルのフェーズ3に相当する。
脳卒中の発症から3ヶ月以上で上肢に中-重度の痙縮がありボツリヌス療法を受ける予定だった患者140人を、
*ボツリヌス注射+3ヶ月間の運動訓練 または
*ボツリヌス注射+リハビリ資料を渡すだけ
の2グループに分けて、この前後での目標達成スケーリング(Goal Attainment Scaling)ボックスブロックテスト(Box and Block Test)、痙縮度等の変化をしらべ比べたところ、
次のようになった。
・目標達成スケーリングスコアは両グループともに同じで、
・ボックスブロックテストのスピードも同じ、
・痙縮度、関節可動域、疼痛、介護負担、健康関連QoLもグループ間であきらかな差はみられなかった。
慢性期脳卒中で上肢痙縮患者へのボツリヌス注射にリハビリ訓練を組み合わせてもなんの効果もみられなかった、
というおはなし。
感想:
痙縮が緩むのは事実なんだよな。けどリハビリ訓練を追加したおかげでどっちも効果がないように思われる。
これを専門家のあいだでは
ボツリヌス療法 → ボツニスル療法 →「没にする両方」という。