元
Low-intensity contralesional electrical theta burst stimulation modulates ipsilesional excitability and enhances stroke recovery
2019 10月 ニュージーランド
脳の両半球は互いのはたらきを抑制しあっているという考え方があって、脳卒中によりいっぽうの脳半球がダメージを負うと反対側からの抑制に歯止めが効かなくなりダメージを負った脳のはたらきがさらに悪化するという。
このアンバランスを正すために反対側にrTMSをあてて過剰な抑制が起こらないようにする臨床実験が数おおくおこなわれてきたが、いまだ一致した結果が得られていない。
動物実験では反対側の脳に電極から直接シータバーストパルスをあてることで過剰抑制を低下させ脳卒中の運動機能を回復させることに成功している。
これらの実験は急性期のものしかなかったので、慢性期であらためてその効果を確認してみたそうな。
人為的に脳梗塞にしたネズミ67匹について、
10日後もしくは30日後に反対側への電極をつかった5Hzのシータバースト刺激3週間をそのパルス総量べつに 低 or 高の2パターンにグループ分けした。
機能回復、半球間抑制、皮質興奮性を測定したところ、
次のことがわかった。
・30日後にはじめた低強度の間欠シータバースト(iTBS)刺激では運動機能の改善はなかった。
・しかし高強度の刺激ではいずれの時期でも同程度に機能回復がみられ、損傷脳皮質の興奮性と正の相関をしめした。
・半球間抑制の程度はこの皮質興奮性と逆相関にあったが、運動機能回復との独自の相関はなかった。
・反対側への連続シータバースト(cTBS)刺激では機能回復は起きなかったが、損傷脳の興奮性が低下した。
シータバースト刺激の種類(間欠/連続)と刺激部位を選ぶことで慢性期脳卒中の半球間抑制のアンバランスを正し機能回復をうながすことができるかも、
というおはなし。
感想:
2019のシータバースト記事↓。
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