元
Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Outcomes in Stroke Rehabilitation- A Prospective Observational Pilot Cohort Study
2019 11月 シンガポール
脳卒中リハビリテーションをうながす薬物療法としてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が期待されている。
SSRIには炎症をおさえ、血管新生 神経新生をうながし、成長因子の分泌、皮質機能の再編をすすめる働きがあるとされている。
じっさいフランスでの SSRIフルオキセチンを用いた脳卒中の運動機能回復についてのFLAMEトライアル(2011年)では白人を対象に良好な成果が報告されている。
そこでアジア人ではどうか、実験してみたそうな。
シンガポールの2つのリハビリテーション施設に入院中の患者57人について、
SSRIの使用の有無と、
機能的自立度FIM, 改訂バーセルインデックスMBIおよびQoLアンケートの結果との関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・57人のうち38.6%がSSRIを使用していた。
・SSRIの使用とMBIおよびQoLスコアのゲインにあきらかな関連が見られたが、
・関係する因子で調整すると有意さはなくなった。
・PTおよびOTのセッション回数の増加とFIMとMBIの改善度には関連がみられた。
アジア人脳卒中患者へのSSRIを併用したリハビリテーションで障害やQoLが改善するわけではなかった、
というおはなし。
感想:
SSRIのむつかしい薬理的はたらきを匂わせておきながら、実際は患者を薬でハイにした勢いで訓練回数を増やしてしまおう、というシンプルな発想のようだ。
これ↓2018年。
ランセット誌:脳卒中の抗うつ薬は役に立たない