元
Remote ischemic conditioning improves cognition in patients with subcortical ischemic vascular dementia
2019 8月 中国
血管性認知症はアルツハイマー病に次ぐ認知症原因で15%を占める。そのうち皮質下血管性認知症(subcortical ischemic vascular dementia)はもっともおおくお墨付きの治療法はない。
期待される治療法として遠隔虚血コンディショニング(remote ischemic conditioning:RIC)がある。
RICでは たとえば脳から離れた位置の腕を一時的に虚血状態にすることで虚血からの保護効果を誘起しようとするものである。
そのメカニズムは複雑で 抗炎症性のさまざまな反応が絡み、結果として局所脳血流が改善すると考えられていて、脳卒中の再発予防への応用も報告されている。
そこで血管性認知症患者へRICを半年間ほどこしたときの効果を実験してみたそうな。
皮質下血管性認知症の患者37人ついて、RICグループ18人とコントロール19人にわけた。
RICでは両腕にカフを巻き200mmHgで圧迫して血流を止め開放するサイクルを1セット5回繰り返し、これを1日2セットx6ヶ月間継続した。
コントロールではカフの圧を60mmHgに設定し、血流が止まらないようにした。
その後の各種神経心理テストおよびC反応性タンパク質や白質病巣体積などを評価 比較したところ、
次のようになった。
・RICグループは、神経心理テストのHLVT-R,COWAT,TMT-A,TMT-B,JLOであきらかにすぐれたスコアを示した。
・コントロールでは6ヶ月間に改善はほとんどなくHVLT-R,TMT-Rにわずかな変化があったのみだった。
・とくに Judgment of Line Orientation (JLO)でRICグループがすぐれていた。
・C反応性タンパク質や白質病巣体積はRICグループで減少傾向にあった。
皮質下血管性認知症患者への6ヶ月間の遠隔虚血コンディショニングは認知機能の改善に安全で効果的と考えられた、
というおはなし。
感想:
こんなにシンプルならやらない理由はないね。
さらに簡単な方法があって↓
ハンドグリップで脳梗塞が治るというエビデンス