元
Disability after minor stroke and TIA
A secondary analysis of the SOCRATES trial
2019 8月 アメリカ
軽症の脳卒中患者は特別なことをしなくても予後が良いと考えられているため 血栓溶解療法(tPA)の治療対象から通常は外される。
いっぽうで軽症脳卒中患者のおよそ3分の1が日常生活になんらかの障害を抱えるという報告がいくつもある。
さいきん報告された軽症脳梗塞患者へのtPA治療の効果をしらべたPRISMS研究では、軽症患者へのtPAはベネフィット無しと結論された。
血栓溶解療法は最初の脳梗塞には有効であるが続いて再発や合併症があったばあいにはその限りではない。
そこで軽症脳卒中で障害が残る理由をたしかめるべく、SOCRATES研究のデータをもちいてくわしくしらべてみたそうな。
発症から24時間以内のTIA患者2384人および軽症(NIHSS 5以下)でtPA治療をしない脳卒中患者3663人について、
90日後の生活自立度mRSスコアと、再発や合併症(脳卒中の再発や心筋梗塞、重大出血、有害事象)の有無をしらべ関連を解析したところ、
次のようになった。
・軽症脳卒中の19%、TIAの5%の患者でなんらかの障害(mRS2以上)が残った。軽症脳卒中やTIAのあとの再発や合併症が障害とつよく関連していた。たとえNIHSSスコアは小さくとも のちの障害度と比例しており予測因子として使えそうである、
・NIHSSスコアおよび「再発や合併症」と障害度に強い関連があった。
・TIAで障害が残った者のうち65%、軽症脳卒中で障害が残った者のうち39%が 再発や合併症を経験していた。
・障害度はNIHSSスコアに比例していた。
・とくに手や脚に麻痺があった者の のちの障害可能性は高かった。
というおはなし。
感想:
再発や合併症が障害の原因とおもわれるのに、それがベースラインNIHSSと比例する(上図)とはこれ如何に?
とおもったけど、どうやら再発合併症と手脚麻痺のようなスペシャルな神経症状メカニズムとのあわせ技でそのようにみえるようだ。