元
Treatment Scoring of Unruptured Intracranial Aneurysms
2019 7月 フィンランド
くも膜下出血の発生率は低下傾向にあり平均年齢はあがっている。つまり若年者の発生が減少している。その理由として喫煙率の低下や診断精度の向上が考えられる。
いっぽうMRIの普及にしたがって症状のない未破裂脳動脈瘤の発見が増えている。
これらの状況から 未破裂脳動脈瘤がやがて破裂する(くも膜下出血となる)リスクはかなり低いことがわかる。
未破裂脳動脈瘤の治療(クリップやコイル手術)判断は、その根拠にできる研究が存在しない(選択バイアスが強く使えない)ため非常にむつかしい状況にある。
治療の可否を判断するためのスコア基準 UIA treatment score (UIATS)が提案されているものの とても複雑なうえ精度の検証もなされていない。
「唯一」40年以上まえにヘルシンキ大学がおこなった未破裂脳動脈瘤患者142人を治療せず生涯フォローした研究が使えそうなので、このデータをつかってUIATSを検証し よりすぐれたスコア法を開発してみたそうな。
1956-1978にフィンランドの未破裂脳動脈瘤182個ぶんの患者142人を 瘤の破裂もしくは死亡、コンタクトがとれなくなるまでフォローした研究のデータを解析したところ、
次のようになった。
・破裂グループでわずかにUIATSスコアがおおきかった。(9.4 vs. 8.3)
・このときのROCのAUCは0.618だった。
・あらたに開発したスコア法は4つの変数のみで、
40代未満(2ポイント)、
現在喫煙(2ポイント)、
瘤のサイズ7mm以上(3ポイント)、
位置(前交通動脈5ポイント、内頚動脈分岐4ポイント、後交通動脈2ポイント)とし、
・トータル5-12ポイントでは治療が望ましく、1-4ポイントは保存を推奨し、0ポイントは治療禁止、とした。
・この新スコアでのROCのAUCは0.755でUIATSよりもすぐれていた。
あらたなスコア法はシンプルかつすばやく未破裂脳動脈瘤の生涯リスクを判定することができる、
というおはなし。
感想:
破裂した脳動脈瘤にすらクリップやコイルをする根拠って、じつはほとんどないんよ。
Stroke誌:高齢重症くも膜下出血を手術する理由?
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率
ましてや未破裂脳動脈瘤を治療する意味って、、、