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Delayed cerebral ischaemia in patients with aneurysmal subarachnoid haemorrhage- Functional outcome and long-term mortality
2019 6月 デンマーク
くも膜下出血は脳卒中ぜんたいの3%をしめ、その80-85%は脳動脈瘤の破裂によるもので、発生率は年間10万人あたり8-20人である。
遅発性脳虚血(delayed cerebral ischaemia:DCI)はくも膜下出血から4-14日後におきやすいという。
DCIは血管攣縮や炎症 酸化ストレスが原因とされカルシウム拮抗薬のニモジピンに若干の予防効果があるとされるものの他には有効な予防手段がない。
DCIは患者の20-30%にみられるとされているが 昏睡状態にあるとわからないことから過小評価されていると考えられる。
そこでくも膜下出血患者のDCI率と長期死亡率をくわしくしらべてみたそうな。
デンマーク国立病院の2010-2013のくも膜下出血患者492人の記録を抽出した。
患者を3グループにわけた。
a)DCIグループ:意識の低下または1時間以上つづく局在症状とした。
b)DCIなしグループ
c)評価不能グループ(unassessable ):昏睡状態のため。
6ヶ月後のmRSスコアとDCIの有無、4年後の死亡率との関連を解析したところ、
次のことがわかった。
・患者の23%にDCIがおきた。これは意識があり評価可能だった患者の33%に相当した。
・DCIなしグループの回復度がもっとも高く、
・評価不能グループはDCIグループよりも回復がわるかった。
・DCIグループの死亡率はDCIなしグループよりもあきらかに高かった。
遅発性脳虚血はくも膜下出血患者のおよそ3割にみられ、短期的 長期的な回復の悪さと関連していた、
というおはなし。
感想:
クリップやコイルは再出血予防のためであって、DCIには影響ないようだ。
数十年まえはあわてて救急車をよぶ習慣がなくて、くも膜下出血であたまがいたくても何週間も病院にゆかないことがふつーにあった。
Stroke誌:クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率