元
Limb linkage rehabilitation training-related changes in cortical activation and effective connectivity after stroke- A functional near-infrared spectroscopy study
2019 4月 中国
脳卒中後のリハビリテーションで手脚の運動がもたらす脳皮質の回復メカニズムはよくわかっていない。脳の皮質活動はPETやMRIで観察することができるがこれら装置は患者のわずかな動きにも弱い。
近赤外線分光をつかった血流評価による脳皮質の機能測定は、高い時間分解能をもつため患者のうごきにつよく、運動課題をともなう測定が可能である。
得られたデータを解析する方法として「機能的結合:functional connectivity」がある。これは脳の異なる領域からの信号の同期の程度を評価するもので互いの結合の方向はわからない。
いっぽう「実効的結合:effective connectivity」では領域間の同期のみならず それらの方向や因果関係を推定することができる。
そこで脳卒中患者と健常者とで安静時および手脚の運動課題をあたえたときの脳皮質の活動を近赤外線分光で測定し、脳皮質間の実効的結合への影響をくわしくしらべてみたそうな。
脳卒中で左麻痺の6人と右麻痺の7人および健常者16人について
両側の前頭前野、運動野、後頭葉に計24チャンネルの分光検出器を貼り付けた。
安静時と上肢下肢の運動課題時の時系列データを測定して、
動的ベイズ推定をつかって領域間のカップリング強度と方向を解析し、実効的結合とした。
このとき、信号を周波数別につぎの4グループに分けた。
I, 0.6-2 Hz
II, 0.145-0.6 Hz
III, 0.052-0.145 Hz
IV, 0.021-0.052 Hz
これらはそれぞれ順に、心拍、呼吸、血管平滑筋、神経 に由来する活動を反映していると考えられている。
次のことがわかった。
・脳卒中患者は健常者にくらべ運動関連皮質の活動が非対称で、損傷脳半球の反対側で活発だった。
・周波数域ⅠとⅡで、脳卒中患者の実効的結合が安静時と運動課題時で健常者よりもあきらかに低かった。
・右麻痺患者では、運動野と後頭葉から右の前頭前野へ向かう実効的結合が、安静時と運動課題時で周波数域Ⅳについてあきらかに高かった。
・左麻痺患者では、運動野と後頭葉から左の前頭前野へ向かう実効的結合が、運動課題時に周波数域ⅢとⅣであきらかに高かった。
上下肢の運動課題後に神経活動を反映する超低周波域での 運動野と後頭葉から反対側の前頭前野へ向かう実効的結合のあきらかな増強効果は、障害を代償するべく認知リソースを脳内再編している様子と考えられた、
というおはなし。
感想:
この研究↓のつづきみたいなんだけど、
がんばって手脚を動かしても効果がない理由
同じデータでも解析する方法がことなると結論もずいぶんとちがうのね。