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Increased Cognitive Load Reveals Unilateral Neglect and Altitudinal Extinction in Chronic Stroke
2019 5月 ベルギー
半側空間無視は脳卒中で右脳を損傷した患者の13-82%にみられる。かれらの60-90%は3-12ヶ月のうちに回復するという。
急性期では頭部と両目の向きが脳の損傷側へ偏っているので半側空間無視に気づきやすい。
つうじょう診断には紙と鉛筆をつかったテストが用いられるが その感度の低さとテストへの慣れが問題視されている。
そしてじゅうぶんに時間が経ち無視症状がなおったようにみえる患者でも、左右同時に視覚刺激をあたえたときに対側のターゲットを消失(extinction)することがよくある。
これら隠れた注意障害をあぶりだすために認知負荷のかかる二重課題下におく方法がいくつか報告されている。
そこで かつて半側空間無視があった2人の患者についてこれを確かめてみたそうな。
右脳の脳卒中で3年以上経ち、当初あった半側空間無視の症状が通常のテストではすでにみられない患者2人について、
視野の中心部に現れるターゲットの形状 および
視野周辺部(左右、上下)のターゲットを認識させるテストを、
個別または同時に(二重課題)おこなった。
次のようになった。
・患者#1について、二重課題時に左方の無視と上方の消失があきらかになった。
・患者#2は左右方向の無視症状は示さなかったが、二重課題時にターゲットを上下同時表示した際に 下方ターゲットを試行回数の半数以上で見落とした。
・このとき上下ターゲットを別個に表示した場合には 見落としはなかったことから、水平性消失(altitudinal extinction)と考えられた。
通常の検査ではもはや半側空間無視がみとめられない慢性期の脳卒中経験者にたいして、二重課題を与えることで空間的注意障害をあらたに確認することができた、
というおはなし。
感想:
刺激が1つずつ提示されているのに見落としてしまうことを無視(neglect)、2つ同時提示したときにいっぽうを見落としてしまうことを消失(extinction)という。
ようするに注意がいっぱいいっぱいなときには思わぬ見落としがおきる。左方にかぎらず。
同側への無視が起きる条件
刺激密度が高いときの半側空間無視