元
Rethinking interhemispheric imbalance as a target for stroke neurorehabilitation
2019 2月 アメリカ
半球間競合モデル(interhemispheric-competition model)によると、左右の脳半球は平常時には脳梁を介して互いの働きを抑制しあいバランスを保っている。
ところが脳卒中で健常な側への抑制がはずれると、損傷脳半球への抑制が過剰にはたらき さらにひどい片麻痺におちいってしまう と考えられている。
このアンバランスな状態を正すことが脳卒中の運動機能回復につながると信じられていて、さまざまな脳刺激法(rTMSやtDCSなど)が試されている。
しかしこれまでのアンバランスな半球間抑制の報告は慢性期の患者ばかりである。
さらに2017年の112の研究のメタアナリシスでは 健常脳半球の過剰興奮を裏付けるエビデンスは1つもみつかっていない。
そこで、ほんとうにアンバランスな半球間抑制が急性期にも存在していて運動機能の回復と関連するものなのか、たしかめてみたそうな。
脳梗塞患者22人と健常者11人について、
半球間抑制の程度を ダブルパルスTMSパラダイムで評価し、運動機能との関連を調べた。
これを1年間、計5回(1,4,12,24,54週目)フォローしたところ、
次のことがわかった。
・指の運動に際する半球間抑制は急性期や亜急性期には正常レベルにあり、その異常は慢性期にのみ確認することができた。
・半球間抑制の影響は運動能力が回復するにしたがいひどくなった。
・さらにこの半球間抑制の程度は運動機能の種類(FMA、力、器用さ)のいずれとも関連を示さず、
・慢性期に向かって半球間抑制のアンバランスさが目立つにつれ、指の器用さの回復幅もわるくなっていった。
これらの結果から、半球間抑制のアンバランスさは片麻痺の回復がよくない原因というよりはむしろ回復結果の反映と考えられる。半球間抑制のバランスを正すことがはたして運動機能の回復につながるのかは おおいに疑問である、
というおはなし。
感想:
原因と結果を都合よく勘違いしていたってことなんやね。
「健常脳を抑制したら〇〇が良くなった」という報告がやたら目について、単純化しすぎているな、、とはおもっていたよ。