元
Effects of Low-Frequency Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation on Swallowing Function and Quality of Life of Post-stroke Patients
2019 1月 トルコ
脳卒中後の嚥下障害にたいして非侵襲的に脳皮質を刺激できるrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)を応用した研究がいくつもあるが一致した結果が得られていない。
両脳半球が脳梁を介して互いを抑制しあっているという考え方があって、脳卒中でいっぽうの損傷により健常側への抑制がはずれると損傷脳側への抑制がさらにすすんでしまう。
このとき健常側の亢進した働きを低周波数のrTMS抑えるか、損傷側を高周波数のrTMSで活性化することで崩れた抑制バランスを立て直すことができるという。
これら刺激プロトコールが研究ごとにバラバラであることも結果が一致しない原因と考えられる。
そこで、低周波数のrTMSに限って嚥下障害への効果を検証してみたそうな。
脳卒中の発症から2-6ヶ月の嚥下障害患者28人を2グループに分けた。
両グループには通常の嚥下リハビリを週3回x4週間おこなった。
rTMSグループには最終週に、1HzのrTMSを健常側脳の顎や舌の動きに関連する部位へ1回20分間x5日間 与えた。
比較グループには通常リハビリをおこなった。
次のようになった。
・両グループともに嚥下機能が実験後3ヶ月にわたり改善した。
・改善した嚥下機能にグループ間でのあきらかな差はみられなかった。
・rTMSグループにのみメンタルQoLの改善がみられた。
脳卒中で嚥下障害の患者への低周波数rTMSは期待しないほうがいいかも、
というおはなし。
感想:
メンタルQoLの改善はかんぜんに「スパシーバ効果」。コントロールにsham刺激をもうけるわけでもなく、しかもたったの1日20分x5日間でどうにかなると考える能天気さは ちょっと雑な感がある。