元
Two-year safety and clinical outcomes in chronic ischemic stroke patients after implantation of modified bone marrow–derived mesenchymal stem cells : a phase 1/2a study
2018 11月 アメリカ
日本企業が開発した幹細胞治療薬を患者に移植してから2年間が経ったそうな。
ドナーの骨髄から採取した幹細胞に遺伝子改変処理をして、慢性期の脳梗塞患者18人へ定位脳手術的に移植した。
このときの有害事象と機能改善効果を2年間フォローしたところ、
次のようになった。
・患者全例でなんらかの有害事象がみられた。9割は手術にともなう頭痛で いずれも後遺症なく解決した。
・2年間フォローできた16人の患者で、ESS ,NIHSS ,FMtotal ,FMmotor スコアであきらかな改善をしめした。
・これらの効果は12ヶ月後にはプラトーに達し、その後おおきな低下はなかった。
・生活自立度であるmRSスコアには有意な変化はなかった。
・断層画像上で改善効果を示す者がいた。
脳梗塞患者へ今回用いた特殊な幹細胞治療薬はおおむね安全で臨床的な改善効果をともなうものだった、
というおはなし。
感想:
ここで使用された幹細胞治療薬は日本のバイオベンチャーが開発したもので、「赤い缶に入ったカレー粉」のような名前がついている。
すこしまえのこの研究↓の続きでもある。
慢性期 脳卒中の幹細胞治療 最新成果
これはオープンラベル試験であり、
頭に穴を開けられることをいとわないやる気まんまんの患者のうち丈夫で思い込みの強そうな人物を選別して 全員に「あなたはこの最新治療を受けられるとてもラッキーな人だ」と告げることを意味する。
だからプラシーボ効果はこれ以上ないほどに高まる。
しかしmRSスコアには変化がないのでまさに気のせいレベルの改善効果。
つまり特筆すべき成果は2年間死人がでなかったという点に尽きる。